「イカロス」が金星を通過、機体も正常

【2010年12月13日 JAXA IKAROS-blog (1)(2)

日本時間(以下同様)12月8日、小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」が金星まで約8万kmの距離を通過した。通過後の運用で、「イカロス」の状態に問題がないことが確認された。


(金星フライバイ時の「イカロス」の軌道図)

金星フライバイ時の「イカロス」の軌道図。クリックで拡大(提供:JAXA)

「イカロス」は、日本時間12月8日午後4時39分に、金星まで約8万800kmの距離を通過した。

金星への最接近距離は約8万kmと、とくにスイングバイ効果を高めるような金星表面ぎりぎりを狙った軌道ではなかったが、金星への接近通過の軌道図を見ると金星の重力の影響によって軌道が曲がっていることがわかる。また、この接近・通過によって「イカロス」の飛行速度は増加している。

「イカロス」とほぼ同じ軌道に打ち上げられた「あかつき」は、金星に太陽側から接近したが、「イカロス」は金星に対して太陽とは反対側を通過した。つまり「イカロス」はソーラーセイリングによって金星の反対側に誘導されたことになる。

「イカロス」は、12日の時点で金星までの距離が100万kmを超え(地球からは7000万km以上)、再び漆黒の宇宙空間を太陽光だけを頼りに帆走している。