100億光年のかなたに発見された銀河団に驚くべき特徴

【2010年8月27日 Texas A&M UniversityJPL

NASAの赤外線天文衛星スピッツァーの観測によって、100億光年かなたに銀河団が見つかった。発見された銀河団における星形成は、わたしたちに比較的近い銀河団に見られるのとは逆に、銀河団の端よりも中心部で活発であることが明らかになった。


(銀河団「CLG J02182-05102」の画像)

銀河団「CLG J02182-05102」。クリックで拡大(提供:courtesy of NASA/JPL-Caltech/K. Tran & C. Papovich (Texas A&M University))

赤外線天文衛星スピッツァーの観測によって、地球から約100億光年の距離に60個ほどの銀河の集まりが見つかった。この銀河団「CLG J02182-05102」は、これまでに検出されたものとしてはもっとも遠いもののうちの1つである。

画像は、スピッツァーによる赤外線観測(赤と緑の擬似カラー)と、すばる望遠鏡による可視光観測(青の擬似カラー)によるデータを重ね合わせたものだ。画像中、もっとも遠い銀河が突出した明るさ(赤と緑色)で見えている。

CLG J02182-05102では、一年に生まれる星の数が数百から数千個と計算されていて、わたしたち天の川銀河に近い宇宙に存在する銀河団よりも、はるかに活発な星形成が進んでいる。

さらに、銀河団の端より中心部の方が星形成率が高いことがわかった。これは、わたしたちに比較的近い宇宙に存在する銀河団とは逆である。近傍宇宙の銀河団の中心核にあたる領域は、年老いた星の集まりである巨大楕円銀河が存在するのが普通である。

研究チームでは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)とESAの赤外線天文衛星「ハーシェル」による「CLG J02182-05102」の観測を計画している。そのデータの分析から、活発な星形成の謎に迫るとともに、さらにもっと遠くの銀河団で似たようなふるまいが見られるかどうかを明らかにしたい意向だ。