観測史上最多、5個以上の惑星を持つ恒星を発見 地球サイズのものも?

【2010年8月26日 ESO

みずへび座の方向にある恒星に、観測史上最多タイとなる5個の惑星からなる惑星系が確認された。さらに2個の惑星が存在する可能性もあり、そのうち1つは地球の1.4倍という系外惑星としてはもっとも軽い惑星かもしれないという。


HD 10180の惑星系のイメージ図

HD 10180の惑星系のイメージ図。クリックで拡大(提供:ESO)

HD 10180の惑星概要

HD 10180の惑星を、記事に基づいてまとめた表。クリックで拡大

みずへび座の方向127光年の距離にある恒星HD 10180に、かに座55番星とならぶ史上最多タイの、5個の惑星が発見された。この惑星系にはさらに2個の惑星が存在するとみられ、そのうち1つは観測史上最小の、地球に近い質量を持つと想定される。

惑星の数でいえば太陽系に似ているともいえるが、太陽系では火星など地球サイズ以下の惑星が太陽に近い内側を回り、それより外側に土星など大型の惑星が位置しているのに対し、このHD 10180では、火星軌道ほどの距離の内側に海王星サイズの惑星がひしめいている。多くの系外惑星で見られるような「ホットジュピター」は見あたらないようだ。

今回見つかった5つの惑星は、海王星ほどの質量(地球の13〜25倍)をもち、中心星HD 10180から約0.06〜1.4AU(1AU=太陽〜地球の平均距離)の距離を6〜600日の周期で回っている。

また、存在するかもしれないという2つの惑星は、公転周期2200日の、土星ほどの質量(地球の65倍)のものと、0.02AUほどの軌道をわずか1.18日で回る、地球の1.4倍の質量のものだ。後者は系外惑星の観測史上もっとも小さい質量で、2009年に発見された「COROT-7b」(2009/9/28付ニュース参照:最小系外惑星は、地球に似た岩石惑星か)と同類の「高温の岩石惑星」と見られる。

今回の発見は、スイス・ジュネーブ大学のChristophe Lovis氏らの6年にわたる研究によるもので、チリのラ・シーヤ天文台の3.6m望遠鏡に設置された分光器HARPSを使い、惑星の重力に引かれたHD 10180のわずかな動きのぶれを観測するという手法でおこなわれた。Lovis氏は、「この発見は、系外惑星研究の新時代を告げるものといえるでしょう。1個だけではなく多くの惑星を含む惑星系を調べれば、重力の複合的な相互作用や、惑星系の形成進化についてより深く知ることができます」と語っている。

最近の系外惑星研究では、太陽系でいう「ティティウス・ボーデの法則」のような、中心星と各惑星の距離の規則性や、中心星の重元素の割合とその惑星系の質量との関連性など、新たな発見が生まれている。今回の「HD 10180」の発見も、惑星系のなりたちを理解するうえで大きな一歩となることだろう。

ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータでは、400個を超える「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、 HD 10180(中心の星)が存在する方向を星図に表示できます。ステラナビゲータをご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。