「イカロス」、2台目の分離カメラも撮影に成功

【2010年6月29日 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」は、14日に分離カメラ(DCAM2)を本体から放出してセイルの全景撮影に成功したが、それに続いて19日に放出された2台目の分離カメラ(DCAM1)が撮影を行った。その画像から、姿勢制御を行うための実験機器の動作状況などが確認された。


(「イカロス」のカメラ(DCAM1)の画像から確認された液晶デバイスの通電のようす)

「イカロス」のカメラ(DCAM1)の画像から確認された液晶デバイスの通電のようす。クリックで拡大(提供:JAXA、以下同様)

(液晶デバイス実験の概念図)

液晶デバイス実験の概念図。クリックで拡大

「イカロス」は、14日に1台目のカメラ(DCAM2)による本体の撮影に成功したが、19日には2台目のカメラ(DCAM1)を放出してセイル全景撮影を行い、数日かけてデータの伝送や確認が行われた。

DCAM1が撮影した画像から、燃料を用いずに太陽光圧のみを利用してセイルの姿勢制御を行うための実験機器(液晶デバイス)の動作状況が確認された。

液晶デバイスとは、通電することで表面の反射特性が変わる薄膜デバイスである。撮影された画像中(1枚目)、通電状態(状態)にあると太陽光が鏡面反射し、非通電状態(OFF状態)は拡散反射するために、非通電状態の方が白く写っている。

今後実施が予定されている姿勢制御実験では、セイルのスピンに同期してONとOFFを切り替える制御を行う。2枚目の図にあるように、ONのときには光圧による力が強くなりOFFの時には弱くなるので、その差を利用して姿勢を制御できるのである。今回は、分離カメラによる画像で識別できるように、ON状態のデバイスとOFF状態のデバイスが交互に並ぶように通電された。

JAXAでは今後も継続して、薄膜太陽電池による発電の状態を計測し、光子圧を用いた加速およびそれによる軌道制御の実証実験を進めながら、ソーラーセイルによる航行技術の獲得を目指す。