世界初、「イカロス」の帆の全景撮影に成功!

【2010年6月16日 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」は、本体から直径6cmほどの円筒形の小型カメラを放出して、先日展開されたソーラーセイル(帆)の全景撮影に成功した。このような小さなカメラが惑星探査に向けた実証機本体の撮影を深宇宙で行ったのは世界初である。


(「イカロス」の分離カメラが撮影した帆の全景画像)

「イカロス」の分離カメラが撮影した帆の全景。クリックで拡大(提供:JAXA、以下同様)

(「イカロス」本体における分離カメラの搭載位置とカメラの形状の画像)

「イカロス」本体における分離カメラの搭載位置とカメラの形状。クリックで拡大

(「イカロス」の膜面の模式図)

「イカロス」の膜面の模式図。クリックで拡大

「イカロス」は今月3日から9日にかけた運用で、ソーラーセイルの展開を完了し、続いて14日に分離カメラによる本体撮影を実施した。

直径約160cmの「イカロス」本体には、2台の円筒形のカメラ(直径・高さ共に約6cm)が搭載されており、そのうちの1台(DCAM2)が14日に放出され、ソーラーセイルの全景撮影を行った。

放出されたカメラは、本体から離れていく途中で、数十mほど離れた位置から撮影を行い、内蔵されている無線送信機を使って「イカロス」へ画像を送信。その画像が「イカロス」から地球へ届いた。

深宇宙において、このような小さなカメラが本体から分離して、探査機自身の写真を撮像したのは、世界で初めてのことである。

撮影実験は、搭載されている電池の寿命である約15分で終了したが、カメラは今後おそらく世界最小の人工惑星として太陽のまわりを飛び続けることになる。

なお、もう1台のカメラ(DCAM1)による撮影は、今後別の機会に予定されており、宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、引き続き太陽光を利用した加速や軌道制御の実験を進め、世界に先駆けたソーラーセイルによる航行技術の実証と獲得を目指す。