「はやぶさ」、回収部隊の待つ地域へ精密誘導を完了

【2010年6月9日 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は日本時間6月9日15時00分、小惑星探査機「はやぶさ」が地球帰還に向けた最後の軌道修正を実施して、着地予定地域へ精密に誘導されたことを確認した。


(軌道誘導の概要)

軌道誘導の概要。クリックで拡大(提供:JAXA)

「はやぶさ」は、6月3日から5日にかけて行った軌道修正で、オーストラリア・ウーメラ立ち入り制限区域付近へ帰還することが確実となっていたが、9日にさらに精密な誘導が行われた。

現在「はやぶさ」は地球上空約190万kmを飛行中で、探査機も良好な状態にあることが確認されている。

「はやぶさ」は地球に戻ってくる直前、大気圏突入の約3時間前に、小惑星「イトカワ」のサンプルが回収されている可能性のあるリエントリカプセルを切り離す。カプセルは大気圏に突入するが、カプセルの後を追うかたちで「はやぶさ」も大気圏に突入する。

大気圏突入の際、カプセルや「はやぶさ」本体が流星のように発光するとみられている。ただし、カプセルや「はやぶさ」が流星となって流れるのは高度100km程度であり、オーストラリアのウーメラ立ち入り制限区域付近でのみ観測されることになる。

また、流星となる前の「はやぶさ」を日本から光学望遠鏡を使って観測できる可能性もある。JAXAによると「はやぶさ」の大気圏再突入は日本時間で6月13日の23時ごろと予測されており、その数時間前、13日の日没後に「はやぶさ」は日本から可視域にある。場所によって少し異なるが、だいたい19時で高度が45度くらい、その後、22時で高度10度くらいにまで下がる。この間、探査機までの距離は、10万km程度から4万km程度にまで変化する。

太陽、探査機、地球の位置関係があまりよくないので、「はやぶさ」はかなり暗いことが予想され、小型の望遠鏡での観測は難しいかもしれないが、JAXAではぜひ観測を試みてほしいと呼びかけている。具体的な位置は、今後「「はやぶさ」の地球帰還直前の光学望遠鏡による観測について」のページに掲載される予報を参照のこと。

注1:明るさの予測は難しいのですが、たとえば、静止軌道付近にある衛星を観測すると12〜16等くらいになるようです。「はやぶさ」の場合には、距離がこの静止軌道の衛星より遠く、地球から見ると太陽電池のパネルの裏側(太陽の光が当たっていない方)が見えるため、静止軌道付近にある衛星よりもかなり暗いことが予想されます。

注2:6月12日の日没後もほぼ同様な時間帯に「はやぶさ」の観測ができますが、距離が50万km程度となってしまいますので、より暗くなってしまいます。

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