Ia型超新星の多くは白色矮星同士の合体で発生?

【2010年2月25日 NASA Feature

チャンドラX線天文衛星の観測によって、Ia型の超新星爆発の多くは白色矮星同士の合体で引き起こされている可能性が示唆された。白色矮星ペアの存在はひじょうに稀だと考えられているため、多くの研究者にとって予想外の結果となった。


(X線と赤外線、可視光線のデータを重ね合わせた、アンドロメダ座大銀河の画像)

X線と赤外線、可視光線のデータを重ね合わせた、アンドロメダ座大銀河の画像。クリックで拡大(提供 X-ray: NASA/CXC/MPA/ M.Gilfanov & A.Bogdan; Infrared: NASA/JPL-Caltech/SSC; Optical: DSS)

超新星爆発は、スペクトルの特徴から大きく「I型」と「II型」とに分けられ、さらに「I型」も「Ia型」「Ib型」「Ic型」と分類されている。そのうちIa型の光は、明るさの変化のパターンから真の明るさを知ることができ、遠く離れた宇宙で起こっても見えるほど明るいので、遠方の銀河までの距離を測るのに利用されている。

Ia型の超新星爆発は白色矮星が起こす暴走的核融合で発生するが、その主な原因は2つある。1つは白色矮星同士が合体した場合(合体シナリオ)、もう1つは連星系を構成する白色矮星に伴星から物質が降り積もり、質量の限界に達した場合(降着シナリオ)である。しかし、両者のうちどちらが主な爆発の原因なのかはよくわかっていなかった

合体シナリオと降着シナリオではX線が生成されるが、その量は異なると考えられている。明るさが違えば、Ia型超新星による距離の測定に影響を及ぼすことにもなるだろう。降着シナリオでは、爆発前からかなりの量のX線が生成される。一方、合体シナリオで生成されるX線量は、降着シナリオに比べてかなり少ないはずである。

独・マックスプランク研究所のMarat Gilfanov氏らの研究チームではX線の放射量に着目し、5つの楕円銀河とアンドロメダ大銀河の中心領域を観測した。まず、赤外線を使った銀河の観測から、いくつの超新星爆発が起きるかを計算し、続いてX線による観測を実施した。

その結果、X線の放射が、降着シナリオの予測量より30倍から50倍も少なかった。このことは、(少なくとも観測が行われた銀河では)Ia型の超新星爆発の大半が合体シナリオで引き起こされていることを示唆している。

Gilfanov氏は、「多くの研究者は、(Ia型超新星爆発を引き起こしている原因のうち)合体シナリオがもっとも少ないと考えてきました。なぜなら、白色矮星の連星(互いに重力的に結びついたペア)は、ほとんと存在しないと言っていいほど少ないと考えられているからです。今後、超新星爆発が引き起こされるプロセスをより詳しく調べる必要があります」と話している。