太陽型の星のまわりに惑星候補、初めて撮像

【2009年12月4日 すばる望遠鏡

すばる望遠鏡が、こと座の方向約50光年の距離にある恒星のまわりを回る、系外惑星候補の小天体を撮影した。太陽と同じくらいの質量の星の近くで系外惑星候補が直接撮像されたのは世界で初めてのことである。


(すばる望遠鏡がとらえた系外惑星候補天体GJ 758BとGJ 758Cの画像)

すばる望遠鏡がとらえた系外惑星候補天体GJ 758BとGJ 758C。クリックで拡大(提供:国立天文台)

(太陽系天体とGJ 758系の天体の大きさを示した図)

太陽系天体とGJ 758系の天体の大きさを示した図。クリックで拡大(提供:国立天文台)

これまでに系外惑星(太陽以外の恒星のまわりを回る惑星)と思われる天体は400個以上見つかっているが、そのほとんどが恒星の明るさの変化から間接的に検出する手法を使っている。惑星の公転運動による恒星の「ふらつき」を測定するドップラー法や、惑星が恒星の前を通過するようすを検出するトランジット法だ。

系外惑星を直接とらえた例は、2008年までなかった。2008年後半になって、3つの恒星について、ジェミニ望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡による撮影画像が相次いで発表された。しかし、3つの恒星はすべて質量が太陽の2倍もある。われわれの太陽系についての理解を深める上で、太陽と同じタイプの恒星を回る惑星の撮像が期待されていた。

日・独・米の研究チームは、すばる望遠鏡のHiCIAO(ハイチャオ)を使い、こと座の方向約50光年の距離にある恒星「GJ 758」を周回する天体を撮影した。HiCIAOは恒星の光をさえぎって周囲の惑星や円盤を撮影する新しい観測装置で、同観測装置の性能を確認する調整観測期間だった2008年5月に今回の天体を発見した。GJ 758は太陽とほぼ同じ質量の恒星で、見つかった天体が惑星と確認されれば、太陽型の恒星では初めての惑星直接観測となる。

惑星候補はGJ 758から29天文単位(地球−太陽間の29倍)離れていて、表面温度は摂氏約330度くらいと推定されている。もしGJ 758が生まれてからあまり時間がたってないのであれば、惑星候補天体は早く冷えたことになり、それだけ質量が小さいと推定できる。GJ 758の年齢は若くて7億歳で、その場合には小天体の質量は木星の約10倍となり、惑星と言える。年齢をいちばん高く見積もると87億歳で、その場合小天体は40木星質量程度の褐色矮星ということになる。

いずれにせよ、今回の発見により間接的な方法だけでは得られない情報を得られるので、太陽型恒星の惑星系に関する理解が進むと期待されている。

なお同研究チームは、2009年8月に、GJ 758のまわりにもう1つ、同じ質量でやや内側(GJ 758から18天文単位)を回る天体が存在することを発見した。