「きぼう」の全天X線監視装置MAXIが2か月で全天撮影

【2009年11月27日 JAXA

全天X線監視装置「MAXI(マキシ)」が、8月15日のファーストライトから2か月あまりで取得した全天X線画像が公開された。全天のX線画像の撮影としては世界最速である。


MAXIのガススリットカメラによる全天X線画像

MAXIのガススリットカメラによる全天X線画像。クリックで拡大(提供:JAXA、理化学研究所、MAXIチーム)

主要なX線天体とMAXIが検出した増光天体

主要なX線天体とMAXIが検出した5つの増光天体(提供:JAXA、理化学研究所、MAXIチーム)

全天X線監視装置「MAXI」は、今年7月16日にスペースシャトル「エンデバー号」で打ち上げられ、その後、日本人宇宙飛行士 若田光一さんが操作するロボットアームによって、国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟の船外実験プラットフォームに取り付けられた。8月15日にはファーストライトを迎え、その後順調に観測を続けている。

画像は、MAXIに搭載されているガススリットカメラ(GSC)が8月15日から10月29日まで取得したデータから作成されたものである。画像中、赤は低いエネルギーのX線を、青は高いエネルギーを放射している領域で、約180個のX線天体を確認できる。全天X線画像としては、米国のHEAO衛星のデータから合成されたもの以来約30年ぶりで、撮影を終えるまでの時間は過去最短だった。

MAXIが観測を開始してからこれまでに、急な増光を見せた天体5個については、国際的なネットワークに速報が送られている(画像2枚目のA0535+26、GRB090831A、GRB090926B、XTE J1752-223および4U2206+54)。MAXIはこのような観測を通じ、全天で1000個を超えるX線天体を90分に1回の間隔で監視し続ける。

MAXIの検出限界は、宇宙X線の観測で標準天体として使われる「かに星雲」の強度の1000分の1に達している。このような高感度で、しかも90分に1回という時間間隔で、全天を系統的にモニターすることも初めての試みである。

MAXIの観測結果はすでにイタリアや米国などで行われた4つの国際学会で発表されており、今後少なくとも2年以上にわたるMAXIの観測に、世界中から期待が寄せられている。