板垣さん、今年9個目の超新星を発見

【2009年11月9日 VSOLJニュース(224)】

山形県の板垣公一さんが、うさぎ座の方向およそ1億光年の距離にある銀河NGC 1832に超新星2009krを発見された。板垣さんの超新星発見は今年9個目で、通算では53個となった。


VSOLJニュースより

(著者:山岡均さん(九大理))

((左)超新星2009krの発見画像と(右)2009年10月のNGC 1832の画像)

(左)超新星2009krの発見画像と(右)2009年10月のNGC 1832の画像。クリックで拡大(提供:板垣公一氏)

(遊佐徹氏撮影の確認画像)

遊佐徹氏撮影の確認画像。クリックで拡大(提供:遊佐徹氏)

(門田健一氏撮影の確認画像)

門田健一氏撮影の確認画像。クリックで拡大(提供:門田健一氏)

うさぎ座の棒渦巻銀河NGC 1832に超新星が発見されました。この銀河は比較的私たちの近くにあり、もし白色矮星が核爆発したもの(核爆発型超新星、スペクトル的にはIa型超新星と分類される)であれば13等級ほどまで明るくなる可能性があります。超新星を発見したのは、山形市のベテラン天体捜索家、板垣公一(いたがきこういち)さんです。

板垣さんは、11月6.73日(世界時、以下同様)に撮影した画像に、16.0等の超新星を見つけました。この天体は、宮城県大崎市の遊佐徹(ゆさとおる)さん、埼玉県上尾市の門田健一(かどたけんいち)さんによって確認され、超新星2009krの符号が付与されました。超新星の位置(板垣さんの測定)は以下のとおりで、母銀河であるNGC 1832の中心からほぼ真南に36秒角のところにあたります。

  赤経  05時12分03.30秒
  赤緯 -15度41分52.2 秒(2000年分点)
  NGC 1832の周辺星図と、DSS画像に表示した超新星

発見翌日(7.607日)の板垣さんの観測では、超新星は15.7等と少し明るくなっており、増光中であることが推測されます。発見画像は板垣さんのウェブページ「Supernova」内でも見ることができます。

NGC 1832は、私たちから1億光年弱の距離にある、割合に近い銀河です。この銀河に、超新星のなかでも明るいものである核爆発型超新星が出現すれば、その極大等級は13等ほどになると期待されます。今後の明るさの推移と、スペクトル観測による型の判別が待たれます。


超新星2009krの位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。ご利用の方は、ステラナビゲータを起動後、「データ更新」を行ってください。

また、新しいデータや番組を入手できる「コンテンツ・ライブラリ」では、簡単にダウンロードして星図に一覧表示できる「板垣さんが発見された超新星」と「日本人が発見した超新星」も公開しています。あわせてお楽しみください。

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