次世代有人ロケット「アレスI-X」実験に成功

【2009年10月30日 NASA Feature

日本時間10月29日00時30分、NASAの次世代有人ロケットの実験機「アレスI-X」が、米・フロリダ州ケネディー宇宙センターから打ち上げられた。


アレスI-Xの打ち上げのようす

アレスI-Xの打ち上げのようす(提供:NASA/ Sandra Joseph and Kevin O'Connell)

「アレス(ARES)」は、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を運ぶほか、月や火星への到達を可能にするNASAの次世代ロケットである。

アレスには、「アレス-I」と「アレス-V」の2種類があり、今回打ち上げられたのは、「アレス-I」の実験初号機「アレスI-X」である。アレス-Iは、スペースシャトルの後継機となる次世代宇宙探査船「オリオン」をISSに運ぶことを目標としている。

アレスI-Xの打ち上げは、当初米国東部夏時間(以下同様)10月27日に予定されていたが、悪天候のため1日延期され、翌28日11時30分(日本時間 29日00時30分)に実施された。

ロケットは打ち上げから2分後に1段目と2段目が切り離され、1段目は大西洋の上空約45kmの高度に達した。その後いずれも海に落下し、実験は無事終了した。なお、2段目はパラシュートを使って着水しており、ブースターや固体燃料ロケットエンジンなどは回収され、詳しく検査される。また、アレスI-Xには、今回700に及ぶセンサーが取り付けられていた。実験で得られたデータは、今後設計や安全性の向上などに役立てられる。

なお、NASAでは、2014年にアレス-Iの実験2号機と3号機の打ち上げを予定している。3号機では、1段目にエンジンを搭載し、無人の「オリオン」をISSの軌道に投入する。さらに、2015年までに「オリオン」を使ってISSへ宇宙飛行士を送り届け、2020年までに月を目指す予定だ。