メッセンジャー、最後の水星スイングバイを終了

【2009年10月6日 MESSENGER Web Site

NASAの水星探査機メッセンジャー(MESSENGER)が、2011年の水星周回軌道投入に向け、最後の水星スイングバイを行った。接近中、探査機がセーフモードに入り、通信が一時断絶したが、予定どおりの軌道を通過したことが確認された。


(最後のスイングバイでとらえられた水星の画像)

最後のスイングバイでとらえられた水星。クリックで拡大(提供:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington)

先月末、水星探査機メッセンジャーは、水星に対して時速約2万kmの速度で、水星の表面から約230kmの距離を通過した。接近中、メッセンジャーは、自身も他の探査機もこれまでとらえたことのなかった領域を画像に収めた。公開された画像は、水星に接近中のメッセンジャーが26,900kmの距離からとらえたもので、クレーターや平原、直径260kmほどの二重クレーターなどが見えている。

今回のスイングバイで、水星の影に入り太陽光が届かなくなる間、メッセンジャーは内部電池を18分間使用する予定だった。しかし、影に入ってから10分後(最接近の4分前)にメッセンジャーは予定より早く通信を絶ってしまった。

メッセンジャーは、今回の接近時に水星の大気や水星から伸びる彗星の尾のような部分(テイル)、さらに赤道付近の地形を撮影するはずだったが、予想外の事態が発生したため、予定されていた観測のすべてを行うことはできなかった。

幸い、その後システムはすべて正常に機能していることが確認されたが、原因は電力系統に起因する誤作動と考えられており、プロジェクトチームでは、現在一連の現象を詳しく調べている。

メッセンジャーのエンジニアで、米・ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所のEric Finnegan氏は「事態の発生は予想外でしたが、重要な目的であるスイングバイを終えることができましたし、これまで撮影されたことのない地形の画像や、外気圏(大気層のもっとも外側)のデータも取得できました」と話している。

なおメッセンジャーは、2011年に水星周回軌道に入り、その後本格的な探査を開始する予定だ。