火星の「鳴子」も温泉地?

【2009年6月23日 大崎生涯学習センター

2008年1月に、火星の小さなクレーターに宮城県の旧鳴子町(現在大崎市)にちなんだ「Naruko」という名前がつけられた。このたび明かされた命名の経緯によれば、2つの惑星の「Naruko」には意外な共通点があるかもしれない。


(火星のNarukoクレーター)

火星のNarukoクレーター。左側の矢印の先にあるのが、水が流れた跡とみられる堆積物。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/Malin Space Science Systems)

(マーズ・グローバル・サーベイヤーがとらえた新しい堆積物周辺の画像)

マーズ・グローバル・サーベイヤーがとらえた堆積物。クリックで拡大(提供:同上)

2008年1月18日、国際天文学連合(IAU)は直径4kmの火星クレーターを「Naruko」と命名することを承認した。後にこれが温泉地として知られる宮城県の旧町名「鳴子」(現在大崎市)に由来することがわかり、話題になった。

しかし、なぜ鳴子町が選ばれたのか? 東亜天文学会の佐藤健氏がIAU火星命名委員長Bradford A. Smith氏に問い合わせたところによれば、キーワードは「温泉」らしい。

2006年、NASAは火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが「今でも火星で液体の水が流れていることを示す有力な証拠」をとらえたと発表した。あるクレーターの斜面を撮影した2005年の画像に、1999年の画像にはなかった堆積物が見つかったのだ。どうやら、水が斜面を流れながら土砂を運んだらしい。

火星の表面温度はマイナス40度以下で、水はすぐに凍ってしまう。原因は不明だが、液体になるほど「温かい」水が地下から湧いた、ということになる。当時無名だったクレーターに名前をつけるとき、委員会はこの事実を念頭に置いていた。

そして、同じように温かい水が地下から湧く、地球の有名な温泉地「Naruko」と結びついた。