ISSで尿を再生処理した水の飲用を開始

【2009年5月25日 NASA

日本時間5月21日(以下同様)、国際宇宙ステーション(ISS)では、若田光一さんら3人の長期滞在員が、水再生システム(WRS)を使って尿を再生処理した水の飲用を始めた。


(水再生システム(WRS)の画像)

水再生システム(WRS)。クリックで拡大(提供:NASA)

(水再生システムに尿を送る機能をもったトイレ(WHC)の画像)

水再生システムに尿を送る機能をもったトイレ(WHC)。クリックで拡大(提供:NASA)

ISSには、昨年11月に水再生システム(WRS)(解説参照)および同システムに尿を送る機能をもつトイレ(WHC)がエンデバー号によって届けられた。

その後WRSは試験運転を開始、エンデバー号が蒸留水のサンプルを持ち帰り、地上で分析された。

5月末以降、ISSに常時滞在する宇宙飛行士は6人に増える。NASAは、貴重な水を再生産する同システムを、正式に運用開始することを決定した。

これを祝って、ISSでは5月21日に若田さんら3人の長期滞在宇宙飛行士が、再生処理された水で乾杯した。

若田さんは「今まで、スペースシャトルやロシアのプログレス補給船から運び込まれた水と味は変わりませんでした」とコメントした。

同じく長期滞在中の宇宙飛行士 Mike Barratt氏は「こんなことが起きるのは、今まではサイエンスフィクションの中だけでした。周囲から閉ざされた環境で水のリサイクルすることは話題にはのぼっても、だれも実現していなかったからです。わたしたちは、今日という日をとてもうれしく思います。こうした技術が、私たちを月、さらにその先にまで到達させてくれるのです」と話した。

なお、WRSからの蒸留水の水質は、今後もISS長期滞在員によってチェックされ、サンプルも定期的に地上へ持ち帰られることになっている。

水再生システム(WRS

トイレで回収された尿を蒸留して水に換え、空気中の湿度を除湿して回収した水や使用済みの水といっしょにろ過および浄化処理する。再生された水は、飲料、食事の用意、実験に使用されるほか、酸素生成装置にも使用される。

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