人工衛星の破片、まもなく地球の大気に突入

【2009年3月11日 SpaceWeather.com

2月11日(日本時間)に発生した米露人工衛星どうしの衝突では、軌道上に大量の破片が撒き散らされた。破片はいずれも小さいことから地上への影響はないが、破片の一部がまもなく地球の大気に突入するという。


3月7日時点の破片の位置を示した画像

3月7日時点の破片の位置。クリックで拡大(提供:Daniel Deak, Spaceweather.com)

米国の人工衛星とロシアの人工衛星が2月11日(日本時間)に衝突を起こしたことは、2月13日のニュース「人工衛星どうしの衝突事故、初めて発生」でもお伝えした。

破片の軌道を作図したDaniel Deak氏によれば、ロシアの「コスモス 2251」の破片355個とアメリカの「イリジウム」の破片159個について、12日にも最初の破片が地球の大気に突入するということだ。破片はおそらく数cmほどと小さいので大気中で燃えつき、地上への影響はないと見られる。

「破片は数が多いだけでなく、高度198kmから1689kmという広範囲に広がっています」とDeak氏は話している。これは、582kmから1262kmの間にあるイリジウムの破片に比べてばらけているが、衝突の仕方やコスモス2251の内部が元々加圧されていたことが原因と見られている。

間もなく若田光一さんが向かう国際宇宙ステーション(ISS)への影響が心配されるところだが、差し迫った危険はなさそうだ。NASAジョンソン宇宙センターで、スペースデブリの主任研究員を務めるNick Johnson氏は、「NASAは衝突の初日から、ISSおよび(間もなく打ち上げられる)スペースシャトル「ディスカバリー号」(STS-119/ISS組立ミッション(15A))へのリスクが増したことを認識していました。しかし、ISSやスペースシャトルによるミッションがもともと背負っているさまざまなリスクに比べれば、比較的小さなものです」と語っている。