カッシーニ、不思議なオーロラを観測

【2008年11月21日 NASA

NASAの土星探査機カッシーニが、土星の北極で発生したオーロラを観測した。一般にどの惑星でも、オーロラは北極や南極を取り巻く地域でリング状に発生するものだが、このオーロラは形が不規則で、ほぼ北極の真上でも発生していた。


(北極に現れたオーロラの赤外線画像)

北極に現れたオーロラの赤外線画像。擬似カラー水色がオーロラ、赤がより低い高度にある大気。大気中の黒い部分は雲やもやの影。クリックで拡大(提供:NASA/JPL/University of Arizona)

カッシーニが土星の北極を撮影した赤外線画像に、北極の真上にさしかかるようなオーロラが写っていた。リング状ではなく、しかも極点のほぼ真上でも発生するようなオーロラは、土星以外の惑星には例がない。

地球では、太陽から運ばれたプラズマ(電気を帯びた粒子)が地球の磁力線に沿って移動することで、磁極を中心としたリング状の地域に集まり、オーロラとなる。木星の場合、衛星のひとつ・イオの活火山から吹き出るイオンが木星の磁力線に乗って北極や南極周辺に集まり、太陽風と作用してオーロラが発生する。

同様のメカニズムは土星でもリング状のオーロラを形成していて、これまで何度も観測されている。しかし、今回見つかったオーロラは、太陽系内で知られているどのタイプにもあてはまらないという。

カッシーニの磁力計チームの研究者で、英・ロンドン大学のNick Chilleos氏は、「この独特なオーロラは、磁場や、太陽風と大気の作用のしかたなどの点に、なにか特別なものがあることを示しています」と話している。