天の川銀河の外側、構造はとても複雑

【2008年8月20日 SDSS

スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)のデータから、天の川銀河の外側を取り巻く星の流れ11本が見つかった。今までに発見されたものを含めた大小14本の星の流れは、互いに交差するなどして入り乱れ、複雑な構造を見せている。


天の川銀河を取り巻く星の流れ

天の川銀河を取り巻く星の流れ。クリックで拡大(提供:Johnston, J. Bullock)

スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)は、「宇宙の地図」を作ることを目的とした大規模なサーベイである(解説参照)。SDSSのプロジェクトのひとつ「SEGUE」では、天の川銀河にある2500万個の星について、速度の計測が行われた。速度ごとに星を分類した結果、銀河を取り巻く14本の構造が明らかとなったのである。そのうちの3本は、すでに発表されていたものである。

米・コロンビア大学のKathryn Johnston氏は、「銀河の中心部は、星の流れが集まって混み合った状態にあるのですが、見た目には一様にしか見えません。しかし、遠く離れて見ると、長く伸びた流れのひとつひとつが見えてくるのです」と話している。

14本のうち、おとめ座の方向に見える流れは、天の川銀河の重力によって引き伸ばされた、いて座矮小銀河の腕の一部であることがわかっている。しかし、それ以外の流れの具体的な起源は明らかになっていない。

SEGUEがこれまでに観測を終えたのは、天の川銀河のほんの一部の領域にしかすぎず、銀河のまわりには、まだ数多くの星の流れがあると考えられている。

Johnston氏は、「SDSSは、天の川銀河に関する膨大な情報をわれわれに与えてくれました。しかし、天の川銀河の地図作りは始まったばかりです。SDSS-IIIで行われる新たな観測や別のサーベイによって、今後大きな発見があるでしょう」と話している。

スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS

スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)は、これまでに全天の4分の1にあたる領域に銀河100万個、クエーサー10万個を観測し、宇宙の大規模構造を示したものとしては、最大の立体地図を作成。SDSSの画像や地図は、さまざまな研究に役立てられている。なお、2005年から開始した第二期計画「SDSS-II」は今年7月中旬に観測を終了(最終データの公表は10月)。その後、同じ望遠鏡を使った第三期計画「SDSS-III」が6年間の予定でスタートする。「SDSS-III」では、ちりで隠された天の川銀河の内部に赤外線でせまる観測も行われる。