活発な出現が期待されるオリオン座流星群

【2007年10月15日 国立天文台 アストロ・トピックス(340)

ハレー彗星を母天体とするオリオン座流星群は、毎年10月21日ころに極大を迎える。あまり派手な流星群ではないが、昨年はペルセウス座流星群に匹敵するほどの活発な活動を見せた。今年も、ぜひ注目したい。


アストロト・ピックスより

昨年、予想を超える出現を見せたオリオン座流星群が、まもなく極大を迎えます。はたして今年の出現はどうなるのか、その動向に注目が集まっています。

オリオン座流星群は、毎年10月中旬から下旬に活動する流星群です。ハレー彗星から放出されるダスト(砂粒)の流れが、この時期に地球と遭遇し、そのダストが地球大気に飛び込んで流星となるものです。ただ普段の年は、空の暗いところで観察しても1時間にせいぜい10個から20個程度しか出現しない、中規模の流星群でした。

ところが昨年のオリオン座流星群は、少なくともこの倍の規模の活動を見せ、国内では1時間あたり100個以上の流星が観測されるなど、過去最大級の出現を記録しました。

この活発な出現を解明するため、国立天文台の佐藤幹哉(さとうみきや)広報普及員と渡部潤一(わたなべじゅんいち)准教授は、ハレー彗星から放出されたダストの分布をダスト・トレイル理論を用いて計算しました。その結果、2006年には、紀元前1266年、同1198年、同911年に放出された古いダストからなるダスト・トレイルに地球が遭遇し、活発になったことを解明したのです。この研究成果は、8月25日に発行された日本天文学会欧文研究報告に掲載されました。

その後、さらに計算を進めた結果、2006年には及ばないものの、2007年にも流星群の出現数が増える可能性があることが判明しました。ダスト・トレイルと地球との接近は、10月20日8時頃(紀元前1266年放出、時刻は日本標準時、以下同じ)と10月22日2時〜5時頃(紀元前1198年放出)と予報されます。日本では、後者の時間帯で観測条件がよいのですが、予報時刻は数時間ずれる可能性もあり、放射点が昇る10月21日22時頃から空が明るくなる22日5時頃まで、注意して観察する必要があります。

出現数は昨年よりも少ないと予想され、例年(1時間に10〜20個)よりも少し多い程度でしょう。また市街地など明るい空のもとでは、さらに少なくなってしまいます。しかし、計算された年代よりもずっと前に放出されたダストの影響で、もっと多く出現する可能性も否定できません。いずれにしても今年の出現を観測することは、ハレー彗星とオリオン座流星群の関係を研究するうえで、とても重要と言えるでしょう。いにしえのハレー彗星が起源のオリオン座流星群に、ぜひご注目ください。

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