ばく大なエネルギーを放出する、オリオン座大星雲の若い星たち

【2007年10月10日 CHANDRA Photo Album

NASAのX線天文衛星チャンドラが、オリオン座大星雲(M42)を撮影した。若い星がばく大なエネルギーを放出し、X線で輝いているようすがとらえられている。


(オリオン大星雲のX線と可視光の合成画像)

オリオン座大星雲のX線と可視光の合成画像。クリックで拡大(提供:(X線) NASA/CXC/Penn State/E.Feigelson & K.Getman et al.、(可視光)NASA/ESA/STScI/M. Robberto et al.)

われわれから1,500光年の距離にあるオリオン座大星雲(M42)は、地球にもっとも近い星形成領域の1つだ。天文ファンに人気の観察対象であると同時に、天文学者にとっては星の誕生や幼年期を知るための格好の研究対象となっている。

チャンドラは13日間にわたり、ほぼ連続してM42を観測し続け、誕生から100万〜1,000万年ほどの若い星を数多くとらえた。画像は、チャンドラの撮影データをハッブル宇宙望遠鏡による可視光画像に重ねたもの。画像中の青やオレンジ色の明るい点が、若い星々だ。

観測から、星たちが強いX線を放っているようすがとらえられた。そのエネルギーは、現在われわれの太陽が放っているエネルギーに比べ格段に強いものだ。このことは、われわれの太陽も若いころは激しく活動していたことを示している。

星のなかには、ほかの星の数百倍ものエネルギーを放出しているものもある。こうした現象は、惑星の形成にも影響を与えるかもしれない。理論モデルによれば、ばく大なエネルギーが放出されると、生まれたての星を取り巻くちりとガスの円盤が大きく乱される。このかく乱は、地球のような岩石惑星が形成される位置に影響をおよぼすとともに、惑星が中心の星に向かって引きずられてしまうのを防ぐというのだ。

チャンドラがとらえたばく大なエネルギーの放出は、46億年前の太陽系においても、われわれの地球の存続を左右したのかもしれない。