ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたM81銀河

【2007年6月12日 Hubblesite Newscenter

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)によるM81銀河の画像が公開された。鮮明な画像には、渦巻く腕に沿って存在する星形成領域の一つ一つや星団など、細かな構造を見ることができる。


M81の可視光画像 M81銀河の部分拡大画像

(上)M81の可視光画像、(下)M81銀河の部分拡大画像(左側は腕に沿った星形成領域、中央はバルジの内側と核、右側は点在する星形成領域)。クリックで拡大(提供:NASA, ESA and the Hubble Heritage Team STScI/AURA). Acknowledgment: A. Zezas and J. Huchra (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics))

M81は、おおぐま座の方向1,160万光年の距離にある渦巻き銀河だ。見かけの明るさは6.8等で、地球から見ることのできる明るい銀河の1つとして、観測者を楽しませてくれている。HSTによるM81の画像には、銀河に存在する散開星団や球状星団、星形成領域、さらには星一つ一つさえも分離して見ることができるほど、構造が詳細にとらえられている。

銀河の中央に向かって伸びる腕には、数百万年前に誕生した若い高温の星と6億年前に誕生した星とが存在している。また、銀河の中心に向かってカーブを描くちりの筋は暗く、若い星からの強力な紫外線によって輝く水素ガスは緑色に見えている。銀河の中心領域であるバルジには、年老いた赤い星が存在している。HSTによる過去の観測から、ブラックホールと銀河のバルジの質量は比例関係にあることが明らかとなっている。M81の中心にあるブラックホールは太陽7000万個分に相当する質量で、天の川銀河のブラックホールの15倍に相当する。つまり、M81のバルジも天の川銀河のバルジよりかなり大きいといえるわけだ。

M81の腕に沿った急速な星の形成は、約3億年前に起きた渦巻き銀河NGC 3077とスターバースト銀河(爆発的に星が形成されている銀河)M82との接近によるものと考えられている。HSTによる観測は、銀河における星の形成、さらに星形成の歴史とM81に観測される中性子星やブラックホールとの関係を明らかにするための研究に役立てられることになっている。

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