チャンドラ、ハッブル、スピッツァーがとらえたソンブレロ銀河

【2007年5月2日 Chandra Photo Album

春を代表する有名な銀河を、NASAの天文観測衛星たちが撮影した画像が公開された。とらえられたのは「ソンブレロ銀河」M104で、X線・可視光・赤外線でまったく異なった姿を見せている。


M104の合成画像

3機の観測衛星が撮影したM104の姿を重ねた合成画像。青はチャンドラ(X線)、緑はハッブル(可視光)、赤はスピッツァー(赤外線)が撮影した画像。クリックで拡大(提供:X-ray: NASA / UMass / Q.D.Wang et al.; Optical: NASA / STScI / AURA / Hubble Heritage; Infrared: NASA / JPL-Caltech / Univ. AZ / R.Kennicutt / SINGS Team)

M104はおとめ座の方向2,800万光年の距離にある、太陽の8000億倍もの質量を持つ巨大銀河だ。望遠鏡で見た姿がメキシコのソンブレロという帽子に似ていることから、「ソンブレロ銀河」とも呼ばれる。

ソンブレロ銀河はハッブル宇宙望遠鏡や赤外線天文衛星スピッツァーが撮影したことでも知られている。今回、X線天文衛星チャンドラの画像が公開されて、NASAが誇る3つの宇宙観測機によるソンブレロ銀河の姿がそろった。一番大きな画像は、チャンドラ、ハッブル、スピッツァーのデータを重ねたものである。

青は、チャンドラによるX線画像だ。ソンブレロ銀河に存在する高温のガスや点光源、さらにはずっと奥に存在するクエーサーも写っている。見かけ上銀河の直径は5万光年だが、X線の輝きは銀河の中心から6万光年以上の範囲まで広がっている。銀河の中心や円盤部で相次いだ超新星爆発がきっかけとなって、物質が遠くまで運ばれたらしい。

緑は、ハッブルによる可視光画像だ。中央部の星の光が、ちりがつくる暗黒帯にさえぎられている。赤く着色されたスピッツァーの近赤外線画像では、同じちりの帯が明るく見えている。