11月8日の小惑星による恒星食(続報):衛星による食の予報

【2006年11月7日 アストロアーツ】

小惑星による恒星食として今年の最高条件と予測されている (22) Kalliopeによる9.1等星の食について、新たな計算結果が公表されました。(22) Kalliopeの衛星、Linusによる食の予報です。予想される掩蔽帯は東京を覆っているものの、誤差は大きく、大阪から北海道にかけての地域で観測される可能性があります。


(掩蔽帯の図)

小惑星本体による掩蔽帯を赤で、衛星による掩蔽帯を青で示した。ただし衛星の掩蔽帯には大きな誤差があり、少なくとも大阪から北海道全域がその可能性圏内となる。本体の掩蔽との時刻は最大70秒ほどとされている。クリックで拡大(提供:J.Berthier(IMCCE), J.Lecacheux(IOTA Europe))

11月2日のニュースではIOTAのSteve Preston氏による予報を紹介しました。新たに、(22) Kalliopeにだけでなく衛星Linusによる食の予想掩蔽帯も含めた予報が公表されました。

この予報はフランスIMCCEのJ.Berthier博士により計算され、同IOTA EuropeのJ.Lecacheux氏によって図が提供されたものです。2001年以降40に及ぶLinusの位置観測データにもとづいて計算されました。

この計算結果によると、Linusの掩蔽帯は東京を覆っています。ただし掩蔽帯の誤差はかなり大きいことが予想され、少なくとも 350キロメートル程度の不確実性を含みます。この場合、西側は大阪から東側は北海道の東はずれまでが可能性圏内となります。ただし、最低でもこのくらいの誤差との情報ですので、さらに外側に外れる可能性があると考えるべきでしょう。

本体との掩蔽時刻の差は、30秒(西側シフトの時)と70秒(東側シフトの時)本体よりも早いと推測されます。さらに、(22) KalliopeにはLinusの内側(たとえば本体から200キロメートル程度の位置)に第2の衛星が存在する可能性が指摘されています。この点も要注目です。

小惑星による恒星食の観測のデータからは、小惑星の位置や大きさ、形状などを求めることができます。より詳しい観測をしてみたい方は、星ナビ.comの「小惑星による恒星食」のページをご覧ください。また、この現象に関するデータは11月2日のニュースに掲載しています。

(※本ニュースは、せんだい宇宙館の早水勉氏よりいただいたコメントをもとに作成しました。)