3つの太陽をもつ新しい系外惑星発見

【2005年7月27日 NASA FEATURE

3つの太陽をもつ新しい系外惑星HD188753 Abが発見された。このような3重連星系に惑星が発見されたのは、初めてのことだ。

(惑星HD188753 Abを回る衛星上の想像図)

惑星HD188753 Abの周りを衛星が回っているとすれば、そこで見られるであろう風景の想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech. )

新しく発見された惑星は、いわゆる「ホット・ジュピター(恒星のすぐ近くをまわる木星型惑星)」で、3.3日の周期で主星の周りをまわっている。主星のHD188753は、3重連星系で、今回見つかった惑星のはるか外側を、156日周期で互いの周りを回る二つの恒星が25.7年周期でめぐっている。HD188753の地球からの距離は149光年だ。

恒星の半分以上は、太陽と違って複数の星がお互いの周りをまわる多重連星系だ。たとえば、太陽に最も近いケンタウルス座アルファ(α)星も、3重連星である。しかし、多重連星系は、系外惑星探しのターゲットにふさわしいとはいえない。惑星が安定して存在するとは考えにくいし、観測すること自体が難しいからだ。これまで、いくつかの連星系で惑星が発見されてきたが、それは恒星どうしが離れていたからである。系外惑星の多くは、惑星の引力で恒星が「よろめく」のを観測することで発見される。HD188753のように恒星同士が近いと、伴星に邪魔されてこの「よろめき」を観測するのが難しい。カリフォルニア工科大学の研究者は、近接した連星に関するモデルを応用して、混ざって見える連星の光を分けることで、今回の発見に成功した。「この惑星で見る日没は、さぞすばらしいだろう」と彼は語る。

もちろん、発見が画期的なだけに数々の疑問も新たに浮かんでいる。従来の説では、ホット・ジュピターは、恒星から離れたところで作られた木星型惑星が、徐々に恒星に引き寄せられてできたと考えられていた。しかし、HD188753では太陽・土星間の距離(約14億キロメートル)程度の位置に二つの恒星があるため、惑星が最初に生まれるスペースがないのだ。惑星の形成について、全く新しい考え方が生まれるかもしれない。

なお、リリース元ではHD188753の三つの恒星と惑星HD188753 Abの動画が公開されている。