板垣公一さん、超新星2005czを発見 国内最多発見者に

【2005年7月20日 VSOLJニュース(142) / 国立天文台 アストロ・トピックス(120)

(VSOLJニュース)

(著者:山岡均さん(九大理))

山形県山形市の板垣公一さんは、今年に入ってからもすでに2個の超新星を発見されている活発な新天体捜索者です。このほど板垣さんは、彼自身今年3個目となる超新星を7月17.50日(世界時、以下同様)に発見されました。この天体は、翌18.23日に、アメリカのグループによって確認されました。発見時・確認時ともに明るさは16.0等と報告されています。板垣さんが6月20日に撮影した画像では、18.5等より明るい天体は見られませんでした。爆発からそれほど時間が経っていないものと思われます。

超新星が出現したのは、りゅう座の楕円銀河NGC 4589です。超新星の位置は、板垣さんの測定によると、次のようになり銀河の中心から東に12秒、南に6秒にあたります。

赤経  12時37分27.85秒
赤緯 +74度11分24.5秒  (2000.0年分点)
超新星2005cz周辺の星図

NGC 4589は比較的近傍の銀河で、明るいタイプである核爆発型超新星(白色矮星にガスが降着して重くなり爆発するもの、観測的にはIa型超新星と分類される)であれば、典型的な極大の明るさは14等ほどが期待されます。楕円銀河では星が新しく作られていないとされるため、寿命の短い大質量星による重力崩壊型超新星(観測的にはIa型以外のすべての超新星に対応する)であることは考えにくく、核爆発型である可能性が高いものと思われます。

発見時の明るさは、期待される極大等級より暗く、母銀河のチリによる吸収を受けているか、もしくは核爆発型超新星のなかでも典型的なものより暗めのものであると推量されます。これらはスペクトル観測によって判別できますので、今後のスペクトル観測が待望されます。

(国立天文台 アストロ・トピックス)

山形県山形市にお住いの板垣公一(いたがきこういち)さんは、口径60センチメートルの反射式望遠鏡を使って撮った、りゅう座の渦巻銀河 NGC 4589 の画像の中に 16.0等級の超新星を発見しました。この発見は兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合に報告されました。この超新星は 2005cz と命名されました。

この天体は NGC 4589 の中心から、東に12秒角、南に6秒角のところにあります。この天体は北天にあり赤緯も高いので、スペクトル型の判定と継続的な観測がされるのではないかと思われます。

板垣さんの発見(独立発見を含む)は通算15個目(国内発見数最多記録更新)です。今年、2月6日未明と夕刻(日本時)、りょうけん座の渦巻銀河 NGC 4617 の中に発見した超新星 2005ab、くじら座の渦巻銀河 NGC 941 の中に発見した超新星 2005ad(国立天文台 アストロ・トピックス(80)(81))に続き、今年になって3つ目の発見です。

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