実は3倍の大きさだった、M31アンドロメダ座大銀河

【2005年6月7日 Caltech News Releases

アンドロメダ座大銀河(M31)の直径が、今まで考えられていたより3倍以上も大きいという観測結果が発表された。これは、ハロー(銀河を取り巻く領域)の一部にすぎないと思われていた星が、実は銀河のディスク(円盤)の一部分であることがその動きの計測からわかったためだ。これにより、アンドロメダ座大銀河の直径は、今まで考えられてきた7〜8万光年から、その3倍も大きい22万光年以上と驚くべき大きさであることが示された。

(M31 アンドロメダ座大銀河の画像)

M31 アンドロメダ座大銀河の画像。クリック拡大

アンドロメダ座大銀河の外側には、星が不規則に集まった領域がある。これは、過去にいくつもの小銀河が衝突することでできた部分であり、中の星はばらばらの方向に動いているであろうと考えられてきた。そのため、今までその領域に存在する星の動きの観測が行われることはなかった。しかし、この領域に含まれる約3千個ほどの星の銀河中心に対する速度を測定したところ、ディスクの動きと一致していた。この測定は、それぞれの星の地球に対する動き(視線速度)を調べることで可能となる。ドップラー効果により、星が地球に近づいていれば青くなり、遠ざかっていれば赤くなるのだ。

アンドロメダ座大銀河は、今まで直径7〜8万光年程度と考えられていたが、今回の観測結果によれば、実は直径22万光年以上という巨大なものだったということになる。「外側のディスク」の起源は、やはり別の銀河が衝突したものであると考えられている。そうでなければ、星の分布が乱雑であることを説明するのは不可能だ。もっとも、この過程をシミュレーションで再現することもまた、不可能なようである。

より外側の星の動きが明らかになったことは、アンドロメダ座大銀河のハローに関する研究に大きな進歩をもたらしそうである。ハローの他の星、さらにはダークマターについて知るのに役立つだろう。一方、この大きなディスクがはたしてアンドロメダ大銀河特有のものか、他の銀河にも見られるものかどうかは、今後の課題となりそうだ。


アンドロメダ座大銀河は、日本から見える銀河としては最大のもので、天文ファンのみならず広く一般に知られている有名な天体だ。満月を横に5つ並べたほどの大きさと、肉眼でもはっきり見える明るさを持つ。すぐ近くにM31の伴銀河であるM32とM110があり、どちらも双眼鏡でよく見える。(最新デジタル宇宙大百科より)