1572年の超新星爆発「ティコの新星」の生き残りを発見、超新星爆発の理論を支持

【2004年11月15日 HubbleSite Newsdesk

1572年11月11日に目撃されたカシオペヤ座の超新星爆発「ティコの新星」の伴星らしき星が、NASAのハッブル宇宙望遠鏡による観測から発見された。この発見は、Ia型超新星は普通の星と白色矮星の連星系であるという長年支持されてきた理論について、初めて直接的な証拠を提供するものである。

((左)超新星爆発によってできた泡構造に包まれた領域の画像、(右)超新星の伴星と思われる星の画像。周辺の星の3倍のスピードで移動している)

(左)超新星爆発によってできた泡構造に包まれた領域、(右)超新星の伴星と思われる星。周辺の星の3倍のスピードで移動している。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, CXO and P. Ruiz-Lapuente (University of Barcelona))

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたのは、天の川銀河を周辺の星の3倍という猛スピードで移動する天体だ。別の望遠鏡によるスペクトル観測の結果とあわせて考えることで、この高速移動天体がティコの新星の伴星であるとわかったのである。

今回の発見によって、Ia型超新星がどのように爆発を起こすかについて、長い間支持されてきた理論が初めて確認された。Ia型超新星は、遠方銀河までの距離や宇宙膨張の歴史を調べるのに大きな役割を果たしており、そのためIa型超新星について理解を深めることはきわめて重要なのである。