宇宙でもっともまぶしく輝く天体、クエーサーの意外な住み処

【2004年6月10日 Gemini Press Release

ジェミニ望遠鏡の最近の観測によって、われわれの天の川銀河に似たような決して巨大ではない銀河にクエーサーが発見された。多くの専門家は、クエーサーの住む銀河は他の銀河との衝突や合体を繰り返してきた大質量の巨大な銀河だと考えていたため、今回の発見は意外なものと受け止められている。

(自らの住む銀河よりもまぶしく輝くクエーサーの想像図)

自らの住む銀河よりもまぶしく輝くクエーサーの想像図(提供:Gemini Artwork By Jon Lomberg)

クエーサーとは、ひじょうに遠方にある、まぶしい輝きを放つ天体だ。その輝きの源は、銀河の中心で膨大なエネルギーを放射する巨大ブラックホールの活動だと考えられている。今回、ジェミニ望遠鏡の観測により、100億光年離れた9つのターゲットのうちの1つに、ひじょうにかすかな銀河に取り囲まれるクエーサーが発見された。この銀河は特別な銀河ではなく、われわれの天の川銀河と同じような銀河である。観測にたずさわった専門家は、この発見について「まるで片田舎のガレージにF1のレーシングカーが駐車されているのを発見したのと同じようだ」と語っている。

多くの専門家の考えるクエーサーの住む銀河とは、他の銀河との衝突や合体を繰り返し巨大になったものだ。また、銀河の衝突や合体によってクエーサーが輝きを増すとも考えられている。今回発見されたクエーサーの住む銀河はそのような巨大なものではないため、クエーサーのモデルやそのはたらき、さらには銀河やブラックホールの形成と進化をも考え直す必要がでてきたようだ。専門家にとって謎は深まるばかりである。