小惑星が地球にニアミス

【2004年3月22日 国立天文台・天文ニュース(706)

日本時間の3月19日早朝、小惑星が地球に4万キロメートルまで近づく、ニアミスが起こりました。ニアミスした小惑星は、2004年3月16日(世界時)に発見された2004 FHという仮符号の付いた小惑星です。

地球に接近する天体を探すアメリカのプロジェクトであるマサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所・地球軌道接近型小惑星(NEA)研究チーム(通称LINEAR)によって、18等級の明るさで発見されました。その後の世界各地での観測から、この小惑星が3月18日(日本標準時では19日朝)、地球に4万キロメートルまで接近することがわかり、世界中で観測が行われました。

日本では、鳥取県のさじアストロパークで、3月19日午前3時過ぎに高速で星空を移動する2004 FHの撮影に成功しています。

今回のニアミスの結果を分析すると、3月18日22時(世界時)過ぎに南大西洋上空で最接近し、地表面からの距離としては4万3000キロメートルまで近づいたことが、中野主一(なかのしゅいち)さんによって計算されています。この距離は、これまでのニアミス記録の中でも特に大接近といえるものです。これまで地球に近づいた天体の接近距離ベスト10は、以下のようになっています。これで見ても、今回のニアミスが記録的であったことがわかるでしょう。観測技術がすすんで、監視網がさらに充実すれば、今後も同様のニアミスが見つかってくるでしょう。

小天体の地球接近番付(2004年3月19日現在)
接近距離接近日天体名推定直径
4万km2004.03.182004 FH30m
8万km2003.09.272003 SQ2225m
11万km1994.12.091994 XM110m
12万km2002.12.112002 XV9045m
12万km2002.06.142002 MN95m
15万km1993.05.201993 KA27m
15万km2003.12.092003 XJ735m
16万km2003.09.192003 SW1307m
17万km1994.03.151994 ES110m
17万km1991.01.181991 BA10m
28万km2003.10.122003 UM310m

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