中性子星で起きた「スーパーバースト」

【2004年2月27日 Goddard Space Flight Center Top Story

NASAのX線観測衛星RXTEによって、中性子星の表面で起きた珍しい爆発「スーパーバースト」が捉えられた。

(照らし出された降着ディスクの想像図) (爆発前の想像図)

今回捉えられた中性子星スーパーバーストの想像図。(上)照らし出された降着円盤、(下)爆発寸前(提供:NASA/Dana Berry)

中性子星は、伴星からのガスが表面に降り積もって主にヘリウムからなる層ができ、そのヘリウムの層が原因で大きなエネルギーを放出するX線バーストを起こす。スーパーバーストはさらにその上をいく激しい爆発で、中性子星に積もった炭素の灰が原因で引き起こされると考えられており、通常のX線バーストの1000倍ものエネルギーを放射する現象だ。

スーパーバーストが観測されたのは地球から2万5千光年離れた直径16km程度の中性子星4U 1820-30で、太陽が100年以上かけて放出するエネルギーがほんの3時間程度の間に放出されている。スーパーバーストによって中性子星の周りにあるガスの降着円盤が明るく照らされたおかげで、降着円盤(特に内側)について、かつてないほど詳しく調べることができたのだ。

バーストによるX線は降着円盤内側の鉄原子を輝かせている。RXTEは、その鉄の蛍光スペクトルを数秒おきに連続して捉え続け、鉄原子の温度や速度などの情報から降着円盤内部の変形のようすなどが詳しくわかってきたというわけである。ちなみに、内部のようすをスペクトルではなく直接観測するためには、ハッブル宇宙望遠鏡の十億倍に相当する解像度が必要だということだ。

今回の観測は、降着円盤の性質について知る大きな手掛かりになったと言えるだろう。降着円盤は中性子星の周りだけでなく恒星ブラックホールやクエーサーの周りにも存在しているが、これらについても詳しいことがわかっていくかもしれない。

なお、リリース元では、スーパーバーストのようすをシミュレートしたアニメーションなどが見られる。

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