惑星状星雲の大半は連星系から生み出される?

【2004年1月22日 NOAO News

11個の惑星状星雲についてその中心にある恒星の運動を調べたところ、10個にふらついているようすが観測された。このふらつきは中心星が連星であるため生じていると考えられるのだが、果たして惑星状星雲は連星から生まれるのだろうか?

(ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した惑星状星雲の写真)

惑星状星雲NGC 6210。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影。左上は中心部分の拡大(提供: Robert Rubin and Christopher Ortiz (NASA Ames Research Center), Patrick Harrington and Nancy Jo Lame (University of Maryland), Reginald Dufour (Rice University), and NASA)

太陽のような星が一生を終えようとしている時、その外層部分のガスを周りの空間へと放出する。このガスが光って見えているのが惑星状星雲だ。惑星状星雲の複雑に入り組んだ形やまぶしく輝くさまざまな色は、アマチュア天文ファンをしばしば魅了してくれる。また、星の進化や元素の分布といった点で、研究対象としても興味深い種類の天体だ。

大多数の天文学者の見解では、惑星状天体は単独の星から生まれるとされてきた。ガスを放出した星は白色矮星となり、惑星状星雲の中心に位置するようになる。惑星状星雲の形はラグビーボールのようなつぶれた球形をしているものが多く、中にはジェット構造を持つものも存在するが、これは元になった星がかなり高速で自転したり強い磁場を持っていたりするためと考えられてきた。

しかし、今回観測された星のふらつきと、そこから想像される連星系の存在は、従来の惑星状星雲の起源の研究にとって革命的な結果である。天文学者が信じていたものとは完全に異なる始まりを意味するからだ。また、起源だけでなく惑星状星雲の進化の過程でも、連星であることによってこれまでに考えられていたよりも複雑な現象が起きている可能性もでてきた。

今後研究グループは、さらに観測する天体の数を増やし、中心星のふらつきの原因を探る予定だ。

<参照>

<関連リンク>

<関連ニュース>