恒星と惑星たちのサバイバルレース

【2004年1月20日 CfA Press Release

ハーバード・スミソニアン天体物理センターの研究によると、これまでに惑星を持っていることが明らかになった恒星100個ほどのうち、30以上もの星が太陽−水星の軌道より内側の距離に木星サイズの惑星を持っていることがわかった。このように軌道が近いと、発生期の巨大ガス惑星と生まれたての星との間で一種の生き残りレースが引き起こされるという。

これから成長しようとしている惑星は、その惑星を生み育ててくれた星との間で、自らの生き残りをかけて戦わなければならない。戦いに敗れてしまうと、その星に飲み込まれる運命にあるという。最終段階では巨大惑星と恒星のさしの勝負となり、いくつかの系では惑星が生き残るが、他の系では惑星は負け、星に食われてしまうらしい。

理論天文学者のモデル計算によると、「熱い木星」のような惑星は恒星を取り巻くガスやちりの円盤からかなり遠いところで生まれるようだ。そののち、惑星の軌道より外側にある物質の影響を受けて内側の方へ移動してくるという。惑星が生き残るためには、その外側の物質を貪欲に消費しなければならないのだ。

我々の太陽系の場合、木星の移動は短距離にとどまり、惑星が生き残ることができた。しかし、もしも原始太陽系円盤の物質がもっと多かったとしたら、物質の影響を受けた木星はレースに負け、内側へ移動して太陽に飲み込まれてしまっただろう。そうすれば、木星より内側の惑星も「木星にならって」すべて太陽に飲み込まれてしまい、生命のない不毛の太陽系ができていたことになる。

そうならなかったのは、われわれの青い惑星が稀有な存在だからなのだろうか。その答は、今後の研究によって明らかになってくるだろう。とにかく地球が幸運な星であったことだけは間違いなさそうだ。