太陽の磁場逆転の全貌が明らかに

【2003年12月8日 Goddard Space Flight Center

NASAESA(ヨーロッパ宇宙機関)が共同運営する太陽観測衛星SOHOによって、11年に一度起こることで知られる太陽磁場の逆転の全貌が明らかにされた。

(SOHOの捉えた太陽の質量放出(CME)のようすと変化する磁場構造の画像)

質量放出(CME)のようす(3枚)、変化する磁場構造(右下)(提供:NASA/Europan Space Agency)

磁場逆転の要因は、太陽の極付近から10億トン級の質量が秒速数百キロメートル〜2000キロメートルという猛スピードで放出される「コロナ質量放出(Coronal Mass Ejection; CME)」と呼ばれる現象だ。コロナ質量放出で磁気を帯びたガスが1000回以上も繰り返し大量に放出されることによって、太陽の古い磁場と新しい磁場の位置が逆転する。

より詳しく述べると、コロナ質量放出は、太陽自身によるかなり手の込んだ掃除といったところで、黒点などによって作られ乱れた磁場を外に掃きだす作業に相当する。春の大掃除とでも言うべき一大イベントは、黒点の数がピークに達する11年に1回というサイクルで起き、大掃除終了後には、太陽の磁場の南北が完全に入れ替わってしまうというわけだ。

約8年にわたって蓄積されてきた磁場反転現象に関するデータは、コロナ質量の放出スピードの変化、概観の変化、緯度の違いなどに関するものだが、今後これらデータは、宇宙天気予報などの向上に大きな役割りを果たすことになりそうだ。また、地球への影響や、太陽そのものの活動サイクルについての研究にもさまざまな成果を提供してくれると期待されている。