超新星とセファイド型変光星による銀河までの距離測定

【2003年9月8日 HubbleSite - NewsCenter

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が捉えた、9800万光年かなたにあるしし座の銀河NGC3370の画像が公開された。周囲に点在しているより遠方の銀河を背景に、見事な渦巻き模様を見せている。

(NGC3370の画像)

しし座の銀河NGC3370(提供:NASA, The Hubble Heritage Team and A. Riess (STScI))

この銀河には、1994年11月にIa型の超新星SN 1994aeが出現した。Ia型の超新星はひじょうに明るく、極大時の光度やその後の光度変化がどのIa型の超新星でも同じであると考えられているため、特に注目され観測される天体である。SN 1994aeはその中でももっとも近いところで爆発した超新星の1つである。

光度変化の状態が似ているという性質から、Ia型超新星の見かけの明るさを測定して本来の明るさと比較することでその超新星(すなわち銀河)までの距離を測定することができる。このような観測と研究により、宇宙膨張が加速しているという説が有力になっている。この方法の問題は、何らかの別の方法によってある1つのIa型超新星までの距離を決めなければならないということだ。

そこで研究者たちは、別の距離決定の方法として「セファイド型変光星」を用いた。セファイド型変光星は周期的に明るさが変化するタイプの変光星で、極大光度と周期の間に一定の関係がある。周期を測定し、そこから導かれる本来の極大光度と見かけの極大光度を比較することで、変光星までの距離がわかるという方法だ。

ハッブル宇宙望遠鏡によって1か月間で延べ半日にもわたる長時間の観測を行った結果、NGC3370中に多数のセファイド型変光星が観測された。ハッブルが観測したセファイド型変光星としては最遠のものとなる。この長時間観測の副産物として、背景にたくさんの銀河が写っているというわけだ。

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