オメガ星雲からシャンパンのように吹き出すX線

【2003年8月26日 Chandra Photo Album

いて座の散光星雲M17は「オメガ星雲」などの愛称でアマチュア天文ファンにもよく知られた天体だが、このM17をNASAのX線観測衛星チャンドラが撮影した画像が公開された。

(M17の画像)

X線で観測したM17。中央のピンク色のところに若い高温星が存在している(提供:NASA / CXC / PSU / L.Townsley et al.)

X線による観測から、M17の中心に存在する若い高温の星から放出されたガスが高温で輝いているようすが明らかになった。ガスの温度は、摂氏150万度から700万度にまでわたっている。

M17を赤外線で観測すると低温のガスやチリが集まっているようすがわかる。X線で観測された高温のガスはこの低温ガスの内側に存在しており、周りの低温ガスを削って星雲の形を生み出しているようだ。また、このガスの活動によって、星雲の中で新しい星が作られているのかもしれない。

星雲中の星はほんの100万年ほどの若さしかないので、これらの星が超新星爆発を起こして周りのガスを加熱したとは考えられない。高温のX線は、大質量の星から放出された高速の粒子同士が衝突して発生した熱によって加熱されたか、または粒子が冷たいガスと衝突して高温になったものだと考えられている。いずれにせよ、若い大質量の星がX線で輝く高温ガスを生み出す元となっているようだ。星雲から勢いよくX線が吹き出してくるようすは、コルクを抜いた直後のシャンパンにたとえて「X線シャンパン」と呼ばれている。

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