大銀河に破壊されつつある矮小銀河が観測された

【2003年8月15日 UCSC Press Release

ハッブル宇宙望遠鏡とケック望遠鏡の観測により、矮小銀河が破壊されつつある現場が発見された。現象そのものをはっきりと観測したのはこれが初めてのことである。

(破壊されつつある銀河の画像)

破壊されつつある矮小銀河(中央)。下の大銀河の影響で引き剥がされた星が柱状に伸びている(提供:NASA and STScI

この銀河のペアは、ハッブル望遠鏡に取り付けられたACSカメラの初観測で撮影された銀河の背景に写されていたものだ。分光観測によって2つの銀河が同じ距離にあることが確かめられ、実際にこれらの銀河が相互作用をしていることが明らかになったのである。

広く受け入れられている理論によれば、大きな銀河はその周囲にある矮小銀河を飲み込んで成長していくと考えられている。大銀河同士の相互作用のようすや、大銀河と矮小銀河の相互作用の状況証拠を観測した例はいくつかあるが、今回の観測では、まさに理論どおりに矮小銀河が大きな銀河の影響を受けて破壊され合体しつつあるようすが直接捉えられたのだ。写真からは、大銀河とその周りに広がるハロー構造の潮汐力によって矮小銀河から引き剥がされた星が柱状に伸びているのがわかる。

また、コンピュータシミュレーションでこの相互作用のようすが再現されている(画像やアニメーションを掲載しているページ)。シミュレーションの結果によれば、多くの矮小銀河は大きくつぶれた楕円軌道で大銀河の周りを運動しており、大銀河から離れたところにあることが多いので(そして矮小銀河はとても暗いので)、今回のような現象がなかなか観測されないのだろうということだ。

<参照>

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