大きな楕円銀河に1000個以上のミラ型変光星が発見された

【2003年6月13日 ESO Press Release

ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(The Very Large Telescope)による観測から、有名な楕円銀河NGC5128に1000個以上ものミラ型変光星が発見された。局部銀河群より遠い銀河でこのような観測が行なわれたのは初めてのことだ。

(NGC5128の一部を拡大した写真)

NGC5128の一部の拡大写真(提供:ESO)

NGC5128はケンタウルス座にある巨大な楕円銀河で、約1300万光年離れている。強力なX線や電波を発していることでも知られている有名な銀河だ。VLTを用いた1999年から2002年までの3年以上にわたる近赤外線観測で星の明るさの変化を調べたところ、この銀河に1000個以上のミラ型変光星が見つかったのである。

ミラ型変光星とは、くじら座のミラを代表とする長周期の脈動型変光星である。星の一生の末期に恒星が不安定になり、膨張と収縮を繰り返すことで明るさが変動するのだ。ミラの場合、約332日の周期でおよそ3等から9等まで明るさが変化する。ミラ型の変光星は、天の川銀河系には数千個、マゼラン雲やアンドロメダ大銀河など局部銀河群に含まれる銀河には合わせて数百個が発見されているが、それより遠いところに見つかったのは初めてのことなのだ。

今回の発見により、銀河の進化の歴史や星の種類ごとの銀河内における分布、周期光度関係を用いた銀河までの正確な距離の測定など、多くの興味深い研究が進められそうである。大いに期待したい。