「小さな超巨大ブラックホール」が見つかった
【2003年4月17日 UC Berkeley News】
これまで、渦巻き銀河の中心に存在すると考えられている超巨大ブラックホールはバルジと呼ばれる部分を持つ渦巻き銀河にだけ存在すると考えられてきたが、その経験則を破り、バルジを持たない渦巻き銀河にも「小さな超巨大ブラックホール」が見つかった。
パロマ山天文台で撮影された銀河NGC4395(提供:Allan Sandage/Carnegie Institution)
この銀河は「りょうけん座」にあるNGC4395で、地球から1100万光年離れたところにある。発表によれば、マウナケア山頂にあるケックI望遠鏡とX線衛星「あすか」による銀河中心部の星の運動の観測から、NGC4395の中心に巨大なブラックホールがあると考えられる結果が得られたということである。その質量は太陽の66000倍ほどと推定されている。渦巻き銀河の中心に存在すると考えられている超巨大ブラックホールは太陽の数百万倍以上の質量を持つと計算されており、それに比べればはるかに軽く超巨大と呼ぶには不適当かもしれないが、それでも大質量であることには変わりない。
NGC4395には、渦巻き銀河の中心に見られるバルジという部分が存在しない。これまで渦巻き銀河の中心に見つかってきたブラックホールは、どれもバルジを持つ渦巻き銀河に存在するものであった。バルジがなくてもブラックホールが存在することが明らかになったことで、他のバルジのない銀河の再観測が必要になるかもしれない。観測と解析が進めば、銀河中心でどのようにブラックホールが形成され進化していくか、バルジとブラックホールの関係はどうなっているのか、などの問題もわかっていくだろう。