3月29日のガンマ線バースト(しし座)の撮影情報求む

【2003年4月2日 アストロアーツ】

2003年3月29日の20時半ごろにしし座の方向で発生したガンマ線バーストに関して、この付近をビデオや写真で撮影された方の情報提供をお願いしている。以下、大西浩次氏からいただいたメールより引用して紹介しよう。

ガンマ線バーストとは、瞬間的に強力なガンマ線がやってくる現象だが、その発生直後に、ガンマ線だけでなく可視光も放っていることがわかってきた。この可視光対応天体は急速に減光してゆくため、「残光」(アフターグロー)と呼ばれている。通常、残光はバーストの1時間強くらい後から追観測されるが、3月29日のガンマ線バーストGRB030329はバーストの1時間後に、これまでで最も明るい12等星で観測された。このことより、バースト直後はひじょうに明るかったのではないかと考えられており、3等級に達したのではないかという見積もりもある。

これほど明るい残光となると、普通に流星をモニターしているビデオやしし座方向の写真の中にその残光が写っている可能性がある。ガンマ線バースト後の残光の減光のようすや最高光度は、ガンマ線バースト源の距離、環境、およびバーストの発生機構の解明に重要となるが、特にバースト直後は観測例がほとんどないため、ひときわ重要なのだ。そこで、より多くのデータを集めるため、アマチュアの方々にも広く呼びかけているのである。

<お願い内容>

2003年3月29日20時より22時の2時間のうち、しし座の背中を含む星域をビデオ撮影された方(詳細な位置は以下の星図を参照)は、ビデオを消去されずに、オリジナルテープをしばらく保存していただけないでしょうか。

おそらくバースト時(日本時間20時27分14秒)の数分後に最大等級になっていると想像しますが、10分以上も前後に最大級になっている可能性も否定できません(分スケールでの減光が見える予想します)。

また、以前、プレカーサーと呼ばれる短い(数秒の)発光現象があるかもしれないといわれていましたが、その存在も否定されていません。そのため、20時より22時の2時間のうち少しでも撮影された方は、以下の情報をご連絡いただきたいと思います。

<連絡いただきたい内容>

  • 撮影時刻
  • 撮影領域
  • カメラレンズ、(視野)
  • 限界等級(ひとまず大体で良いです)

<連絡先、連絡方法>

大西浩次(おおにしこうじ、長野工業高等専門学校)氏までご連絡ください。

<星図>

以下、広域星図、中範囲の星図、詳細星図(ステラナビゲータVer.6で作成)

ガンマ線バーストGRB030329:
 10h44m50.0s
+21o31'23" (J2000.0)

ガンマ線バーストGRB030329周辺の広域星図

ガンマ線バーストGRB030329周辺の星図

ガンマ線バーストGRB030329周辺の詳細星図