ハッブルの観測で捉えられた、星の周りの複雑な円盤構造

【2003年1月20日 HubbleSite - News Center

NASAのハッブル宇宙望遠鏡に搭載されているACSカメラの観測から、若い星の周りに広がるチリの円盤がはっきりと捉えられ、その画像が公開された。

(HD141569Aの周りの原始惑星系円盤の画像)

HD141569Aの周りに観測された原始惑星系円盤。右は、左の画像の円盤を正面から見たように画像処理したもの(提供:NASA, M. Clampin (STScI), H. Ford (JHU), G. Illingworth (UCO/Lick), J. Krist (STScI), D. Ardila (JHU), D. Golimowski (JHU), the ACS Science Team and ESA

チリの円盤が見つかったのは、地球から320光年離れたてんびん座の恒星HD141569Aである。この恒星の年齢は500万年と若い。また、三重連星系をなしていると考えられている。

HD141596Aは、1986年に赤外線観測衛星IRASの観測で赤外線超過が観測された星で、その結果から星の周りにチリの円盤が存在するとみられていた。1999年にはハッブル宇宙望遠鏡のNICMOSカメラ(近赤外カメラと多天体分光器)がこの星を撮影し、暗い溝に隔てられた2つの同心円状のリングを写し出した。当時、この溝は1つ以上の惑星によって円盤が削られてできたものだと考えられていた。

今回のACSカメラの観測によれば、円盤の構造はこれまで考えられていたよりも複雑なようだ。円盤は実際はきつく巻いた渦状の構造をしていたのである。円盤の外側の領域は2本の渦になっており、そのうち1本は画像の左上のほうにある連星系の恒星HD141596Cの影響を受けているようである。

一方、これまでの中間赤外線の観測では、恒星から約45億kmより内側の領域にはチリがほとんど見られない。この内側の領域は、1つ以上の見つかっていない惑星によってチリが掃き出されてしまったのかもしれないということだ(画像の中央が黒いのはカメラに取り付けられた中心星の光を遮る装置のためであり、ここがそのままチリのない内側の領域に対応するわけではない)。