ミステリアスなX線の雲に包まれた若い星団が見つかった

【2002年12月20日 Chandra Photo Album

NASAのX線観測衛星チャンドラが、ミステリアスな高エネルギー電子の雲に包まれた若い星団を発見した。

(RCW38の画像)

星形成領域RCW38。色はエネルギーに対応しており、赤が低エネルギー、青が高エネルギー(提供:NASA / CXC / CfA / S.Wolk et al.)

この星団は南天の「ほ座」にあり、地球からの距離はおよそ6,000光年である。星団の大きさは5光年ほどで、生まれて間もない(100万年も経っていない)若くて高温の星を多く含んでいる。チャンドラの観測では、この星団全体に広がっている高エネルギー電子の雲から発せられているX線の存在が明らかになったのだ。

このような高エネルギー電子は、一般的には星の爆発で発生したり中性子星やブラックホール周りの強力な磁場の中で発生したりするが、この星団ではそういった天体は見つかっていない。別の説として、見つかっていない超新星爆発の衝撃波と若い星から放射された粒子が影響を及ぼしあって高エネルギー電子を生み出したのだろうという考えもある。

いずれにしても、高エネルギーの電子は原始星の周辺に見られるディスクの化学組成に大きな影響を与えそうだ。隕石に含まれる放射性物質などの存在から、ひょっとすると我々の太陽系もそういった高エネルギー粒子の影響を受けたのかもしれないということだ。

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