5万個を超えた小惑星の登録

【2002年11月28日 国立天文台天文ニュース(602)

11月20日に発行された小惑星回報(The Minor Planet Circulars)によりますと、これまでに軌道が決まって登録された小惑星の確定番号が52224に達しました。これは、1995年12月21日に発行した「天文ニュース(9)小惑星情報」でご紹介した、当時の確定番号(=6678)からは想像できなかった数です。

1801年1月1日に、第1号のケレス(Ceres)が発見されて以来、200余年ですが、ここ数年で一気に沢山の小惑星が登録されているものです。

最近の確定番号の伸びは、主にアメリカのリンカーン研究所チームによるLINEARをはじめとした各国で行われている地球近傍接近天体(NEO)捜索のプロジェクトによる成果です。

日本国内でも、アマチュアを中心とした小惑星の観測者によって多くの観測・軌道計算がなされ、プロの自動捜索には及ばないもののかなりの数の小惑星が発見されています。また、NEO捜索プロジェクトによる軌道の決定の結果、日本人が発見した小惑星でこれまで未確定だったものが確定番号を得つつあるといった効果もあります。

軌道が決まり、確定番号が与えられますと、発見者はその小惑星の名前を提案する権利をもちます。その結果、日本人が名付け、日本にちなんだ名をもつ小惑星がつぎつぎに誕生しています。最近では、(6562)Takoyaki(たこやき;天文ニュース(550))、(6983)Komatsusakyo(小松左京;こまつさきょう;作家、エッセイスト、ルポライター、脚本家)、(7134)Ikeuchisatoru(池内了;いけうちさとる;天文学者)、(8883)Miyazakihayao(宮崎駿;みやざきはやお;アニメーション作家、監督)、(10160)Totoro(トトロ;森の精霊)、(17508)Takumadan(團琢磨;だんたくま;実業家)、(17509)Ikumadan(團伊玖磨;だんいくま;作曲家)等など、多彩なものとなっています。また、手前味噌ながら、当広報普及室の縣秀彦(あがたひでひこ)さんも(7366)Agata、国立天文台の三鷹キャンパスがある東京都三鷹市「大沢(おおさわ)」も(19310)Osawaとして命名されました。このように、日本の地名や人名などをもつ小惑星が太陽系内を運行していることを思うと、感慨深いものがあります。

また、「天文ニュース(589)太陽系外縁部に過去最大の小天体を発見」で紹介した小惑星も 「(50000)Quaoar」 として命名が承認されています。

確定番号が10万の大台に達するのも、そう遠くないのではないでしょうか。