宇宙に浮かぶ「ゴメスのハンバーガー」

【2002年8月2日 STScI Press Releases

NASAのハッブル宇宙望遠鏡が今年2月に撮影した、奇妙な形をした天体の画像が公開された。天体を撮影した天文学者の名前と天体の形から、「ゴメスのハンバーガー」と呼ばれている。

(「ゴメスのハンバーガー」の画像)

原始惑星状星雲「ゴメスのハンバーガー」の画像(提供:NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)、謝辞:A. Gomez (Cerro Tololo Inter-American Observatory))

この天体はいて座にあり、地球から約6,500光年離れている。おそらく、太陽のような星が一生を終える間際の姿をとらえているのだろう。ハンバーガーの材料になっているのは、星の周りを取り囲むチリと星からの光だ。星の上下方向に広がるチリは星からの光を反射して光って見えている。一方、厚いチリの円盤は星からの光を遮るので、中心部分が帯状に暗く見えているのである。

太陽程度の質量を持つ星は、進化の後期段階で大きさが100倍くらいに膨れた赤色巨星になる。星の外層が恒星風によって吹き飛ばされ、その広がったガスが高温になった中心星からの紫外線を受けて輝いて見えるのが惑星状星雲というわけだ。

「ゴメスのハンバーガー」の場合は、惑星状星雲になる直前の段階にある天体だと考えられる。中心の星がそれほど高温になっていないために、紫外線というよりも通常の可視光線が周りのチリ粒子に反射され、それが見えているようだ。このような「原始惑星状星雲」(惑星状星雲の前段階という意味で、原始惑星とは関係がない)である期間はきわめて短い。1000年も経たないうちに中心星が高温になり、チリの粒子は蒸発してなくなって、かわりにガスが紫外線を受けて惑星状星雲として光り始める。

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