銀河の周りに広がる超巨大ガス雲

【2002年4月17日 Subaru Telescope Latest News

すばる望遠鏡の主焦点カメラ(Suprime-Cam)による観測で、巨大な電離した水素ガスの雲が発見された。この発見は、銀河団内で集まっている銀河の進化を解明する手がかりになると期待されている。

(おとめ座の銀河NGC 4388と周りに広がるガス雲の写真)

NGC 4388と電離した水素ガスの雲(紫色の部分)(提供:国立天文台、すばる望遠鏡)

観測対象となったのは、我々の銀河系からおよそ6,000万光年離れたところにある「おとめ座銀河団」中の銀河NGC 4388である。この銀河の周りに、大きさが約11万光年もある巨大な電離水素ガスのかたまりが発見されたのだ。

NGC 4388は活動銀河と呼ばれるタイプの銀河で、中心には超大質量ブラックホールがあると考えられている。このブラックホールの活動で放射されるエネルギーによって一部の水素ガスが電離していると考えられているが、これほど大きく広がったガスすべてを電離させるほどのエネルギーはない。その起源としては、おとめ座銀河団の中の高温ガスとNGC 4388が衝突してNGC 4388内のガスがはぎ取られたという説や、NGC 4388と他の小さな銀河が衝突、合体した際に小さな銀河のほうからガスが飛び出したという説がある。

今後、すばる望遠鏡のような大型望遠鏡を使ってNGC 4388の電離ガス雲が放つ光のスペクトルを撮影することで、ガス雲の運動や電離状態を明らかにすることができるだろう。ガス雲の起源や電離のメカニズムを解明することで、銀河団内における銀河の進化に対して、新しい発見が得られると考えられている。

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