135億光年も離れた銀河群が発見された

【2002年4月10日 ESO Press Release 07/02

南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)パラナル観測所のVLT(The Very Large Telescope)を使って観測を行っていた国際研究チーム(オランダ、ドイツ、フランス、アメリカ)たちが、135億光年離れた銀河群を発見した。銀河群としてはこれまで知られているものの中で最遠のものである。

(VLTが撮影した電波銀河TN J1338-1942周辺の画像)

電波銀河TN J1338-1942周辺領域の画像。中心の緑の四角が電波銀河の位置で、周りの青い円が電波銀河と同じ距離にある銀河。クリックで拡大(提供:ESO)

研究チームは、まずTN J1338-1942という名前の電波銀河を観測した。電波銀河は我々の天の川銀河の5桁から10桁も強い電波を放射している銀河であるが、この強力な電波は中心にある大質量ブラックホールに関係があると考えられている。そして、強力な電波のおかげで、はるか遠方にあっても見つけることができるのだ。

さらに、これまでの観測から、電波銀河は形成途上にある若い銀河団や銀河群の中心にあるという結果が得られている。そこで、今回の観測でも電波銀河の周りを見て、将来銀河団になるかもしれないような銀河の集まりがないかどうかを調べたというわけだ。

観測の結果、電波銀河の周りに映っている銀河のうち20個が電波銀河と同じ距離にあることが確認された。この電波銀河までの距離はおよそ135億光年なので、これら20個の銀河の集まりは135億光年離れた銀河群ということになる。別の言い方をすれば、(宇宙の年齢を150億年とすれば)宇宙の歴史上ほんの10%しか時間が経っていない時点ですでに銀河群のような構造が形成されているということである。

今回の観測で、宇宙のごく早い段階から銀河群が形成されていることが示された。こういった銀河群が今後どのように銀河団へと進化していくのかを知るためには、銀河群に含まれている銀河の色や形を調べなければならない。先ごろハッブル宇宙望遠鏡に取り付けられたACSカメラが大いに成果をあげてくれると期待されている。

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