近傍銀河NGC 4242に出現した超新星2002bu

【2002年4月1日 VSOLJニュース 087・山岡 均(九大・理)氏】

1月末以来、明るい超新星が数々発見されてきていますが、またもや近傍の超新星の発見が報じられています。もしIa型であれば、極大11.7等級ほどと期待されますし、その他の型でも14等程度に達すると見込まれます。

この超新星2002buを発見したのは、アメリカで自動超新星探索を行なっている天文愛好家Puckettさんとその協力者で、3月28.26日(世界時、以下同様)に撮影した画像上で、15.5等級の新たな天体を見いだしました。翌29.02日の画像でも天体の存在が確かめられています。新天体の位置は、赤経12時17分37.18秒、赤緯+45度38分47.4秒(2000年分点)で、母銀河であるNGC 4242の中心から東に73秒角、北に98".6秒角ほどにあたります。

母銀河NGC 4242は、渦巻がややはっきりしない銀河(SAB(r)dm)で、りょうけん座にある視直径の大きな(5分角×3.8分角)ものです。あまりに大きいために、私たちの銀河系内にある星がいくつも重なって見えています。また、円盤部には巨大な星団やH II領域が多数見られます。どれが超新星かの同定には注意が必要です。

この銀河は、りょうけん座II群と呼ばれる銀河群の一員と考えられています。距離はおとめ座銀河団よりも2割ほど近くですので、この群内に出現するIa型超新星の極大等級はおよそ11.7等ほどと期待されます。他の型であっても、極大14等程度と予想されますから、今後、分光観測による型の決定が楽しみなところです。比較的明るく、また見やすい位置にありますから、光度の追跡観測も望まれます。

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