3月19日〜20日に起こる小惑星による恒星食(3件)の改良予報

【2002年3月13日 せんだい宇宙館

小惑星による恒星食の予報を3件お届け申し上げます。3本とも条件の良い現象です。観測の可能な方は是非ご協力頂きたくお願い申し上げます。また、近隣の方々にも呼びかけをお願い申し上げます。

小惑星(675)Ludmilla による恒星食の改良予報

3月19日の小惑星(675)Ludmilla による TYC0773-00590-1(mag 10.4)の掩蔽のIOTA による改良予報が発表されました。

■ 2002.03.19  01h03m JST
恒星  :TYC 0773-00590-1
        赤経 07h 33m 29.623s,赤緯 +11° 40' 50.50"(J2000) 10.4等
        こいぬ座β星の北 約3° 44'
小惑星:(675)Ludmilla  12.4等
減光  :約 2.2等  継続時間は最長 15.0秒
掩蔽帯:近畿地方,中国地方東部,中部地方,東海地方,関東地方南部

現象時の高度が低いことを除いて、好条件の現象である。日本付近における高度は12〜16°。掩蔽帯の幅は 98km。掩蔽帯の誤差(1σ)は、掩蔽帯の幅の +/-53%と発表。恒星の位置精度が良く、予報の精度も高い。夜半を過ぎているため19日と示しているが、実際には18日深夜の現象であるためこの点にも注意のこと。

小惑星(230)Athamantis による恒星食の改良予報

3月19日の小惑星(230)Athamantis による TYC5500-00831-1(mag 10.1)の掩蔽のIOTA による改良予報が発表されました。

■ 2002.03.19  21h27m JST
恒星  :TYC 5500-00831-1
        赤経 10h 54m 11.274s,赤緯 -08° 29' 44.52"(J2000) 10.1等
        コップ座,しし座,ろくぶんぎ座の境界付近
小惑星:(230)Athamantis  10.7等
減光  :約 1.1等  継続時間は最長 9.5秒
掩蔽帯:東北地方北部,北海道西部

減光の小さいことを除いて、たいへん好条件の現象である。ビデオ観測の場合には、恒星像が飽和しないように注意したい。掩蔽帯の幅は 125km。掩蔽帯の誤差(1σ)は、掩蔽帯の幅のわずか +/-39% と発表されており確度が高い。

小惑星(346)Hermentaria による恒星食の改良予報

3月20日の小惑星(346)Hermentaria による TYC0305-00085-1(mag 9.9)の掩蔽のIOTA による改良予報が発表されました。

■ 2002.03.20  00h23m JST
恒星  :TYC 0305-00085-1
        赤経 13h 15m 37.546s,赤緯 +05° 39' 17.32"(J2000) 9.9等
        おとめ座σ星の西 約 31'
小惑星:(346)Hermentaria  11.7等
減光  :約 2.0等  継続時間は最長 8.4秒
掩蔽帯:樺太南部,千島列島

好条件の現象。掩蔽帯の幅は 125km。掩蔽帯の誤差(1σ)は、掩蔽帯の幅の +/-56%と発表。夜半を過ぎているため20日と示しているが、実際には19日深夜の現象であるためこの点にも注意のこと。

これらの予報は、ファインダーチャートとともに、以下のページにおきました。http://www2.synapse.ne.jp/uchukan/

改良予報の在所: http://www.oz.net/~stevepr/Asteroids/asteroid.htm

観測に成功されましたら、是非、国立天文台相馬充氏 または、せんだい宇宙館早水勉までご報告をお願いいたします。観測されましたデータは、IOTA,国立天文台,海上保安庁水路部,東亜天文学会 他、広く公開され星食の研究に役立てられます。

必要なデータは、

  1. 観測者氏名
  2. 観測地および観測地の経緯度
  3. 観測開始と観測終了の時刻
  4. 減光が観測されたか? 減光が観測されなくとも重要なデータです。
  5. 減光がおきた場合の時刻:減光開始の時刻および減光終了の時刻
  6. 観測機材
  7. 時刻保持の方法

です。観測は眼視によるものでも重要なデータとなりますが、可能な方は、是非ビデオによる観測をお願いいたします。時刻保持のためには、極力、GPS時計、短波時報(外国)などの正確な時報を用いてください。固定電話による117時報も0.03秒程度の信頼性があります。携帯電話の時報、電波時計、は遅れが大きいので避けてください。

星食観測は多くの観測者により成立するものですので、この種の現象を通じて、天文仲間のフレンドシップの広がることを期待しております。

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