3月20日の土星食

【2002 年 2 月 4 日 国立天文台天文ニュース (520)

きたる3月20日に、日本の北半分で土星が月に隠される土星食が見られます。日本の時刻で20時ころの現象で、土星の高度も高く、観測しやすい土星食でしょう。

つい先日の1月25日に、日本の南半分で土星食が起こりました。ご記憶の方も多いことでしょう。それを見られなかった地域にお返しをするかのように、3月20日の土星食は日本の北半分だけで見ることができます。限界線は、だいたいのところ福井県越前岬と千葉県木更津を結ぶ線に当たり、それよりも北側の地域ならこの土星食を見ることができます。このとき月は上弦の前で、月齢は6.4です。このとき土星は月の欠けている縁から潜入し、輝いている縁から出てきます。輪を含めると、土星が隠れ始めてからすっかり見えなくなるまで、また出現を始めてからすっかり出てくるまでに2分から4分くらいかかります。この時間は観測する場所によって変わります。土星の中心点で食の始まる潜入時刻、終わりになる出現時刻を示しますと、主要な地点では、およそつぎのようになります。

観測地潜入出現
札幌19時17.5分20時21.8分
仙台19時31.3分20時16.6分
新潟19時30.8分20時12.8分
長野19時37.1分20時06.6分
東京19時46.4分20時03.7分

ただし、輪の潜入が始まる時刻は上記の潜入時刻より早く、輪がすっかり月の後ろから出る時刻は上記の出現時刻より遅くなります。観測に当たっては注意が必要です。

2002年に見られる惑星食は、世界的に見ると、土星食が5回、火星、木星食がそれぞれ3回、水星、金星食がそれぞれ1回の計13回です。そのうち日本で見ることができるものは、土星食が2回、水星、金星、木星食がそれぞれ1回の計5回です。土星、木星食はすでに1回ずつ終わりましたから、今後見られるものは、上記3月20日の土星食と、12月5日の水星食、12月30日の火星食です。この水星、火星食はともに昼間の現象で、12月5日の水星食は四国、九州など、日本の一部で見えるだけです。12月30日の火星食は11時前後の現象で、月齢25.7の月に1.5等の明るさの火星が隠されます。これは九州とそれより南の地域を除き、日本全国で見ることができます。ただし観測には望遠鏡が必要です。

<参照>

  • 平成14年天体位置表、海上保安庁水路部(Mar. 23,2001)
    相馬充, 2002年の土星食の予報, 国立天文台内部資料

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