HETE-2 衛星が拓くガンマ線バースト天文学の新たな地平
小口径望遠鏡で探る宇宙最大の謎 - あなたにもできる最新天文学観測 -

【2001年11月1日 国立天文台 渡部 潤一 氏】

宇宙最大の謎と呼ばれるガンマ線バースト現象が、ガンマ線だけでなく可視光をも放っていることがわかってきました。しかも、バースト直後にはなんと 8 等ほどの明るさに輝いた例も見つかりました。これなら小口径望遠鏡でもカバーできる明るさです。日本の公開天文台やアマチュア天文家に大きな期待がかかっています。ぜひ、下記の研究会にご出席いただき、皆さんの望遠鏡と能力を最先端天文学に生かしてみませんか?

HETE-2 衛星が拓くガンマ線バースト天文学の新たな地平
小口径望遠鏡で探る宇宙最大の謎 - あなたにもできる最新天文学観測 -
日時 12 月 3 日(月)10:00 〜 12 月 4 日(火)17:00
場所 理化学研究所 大河内記念ホール
和光市広沢 2-1 理化学研究所 和光本所 レーザー棟 1 階
交通 東武東上線 和光市駅下車徒歩 15 分(キャンパス案内参照
共催 理研シンポジウム 科研費基盤研究(B)(2)
「HETE-2 衛星を用いたガンマ線バースト/バースト残光天体の研究」

<研究会の概要と目的>

ガンマ線バースト(GRB)は、多量のガンマ線放射をともなう、深宇宙における巨大爆発現象であり、現在、宇宙物理学・天文学の分野で非常に大きな関心を集めている。GRB には、電波から X 線における広い波長帯で、時間とともに減光する残光現象がともなうことが分かってきている。この残光の可視光分光観測から、この現象は、赤方変移 z が 1 を越える宇宙論的遠方で発生していることが判明し、現在知られている最も遠いGRB では、実に z〜4.5 と同定されている。

したがって、GRB は遠方宇宙を探る有力な手段と考えられるが、多くの GRB では、可視光残光は 20 等級前後の暗い天体として発見されることが多く、残念ながら、大口径の望遠鏡以外では観測が困難であった。これは、バースト発生から可視光での追観測開始までに、少なくとも数時間の『遅れ』が生じることが避けえなかったためである。

しかしながら、日米仏の国際協力によって製作され、打ち上げられた HETE-2 衛星は、この『遅れ』を飛躍的に改善し、GRB 研究に新しい切口を提供するものである。HETE-2 衛星は、広い視野で GRB を監視し、いったん検出すると、搭載したマイクロプロセッサーによってその位置を計算し、バーストから数十秒の時間で、地上の観測者に位置情報を通報することができる。これにより極めて早い、明るい段階のバースト残光を追観測することが可能となる。したがって、

  1. 暗い、つまり遠方で発生したバーストの詳細観測が期待でき、より遠方(たとえば、 z>~6)の GRB 残光が発見 / 観測できる。
  2. 同時に、GRB 残光が明るいうちに観測できるため、中小口径望遠鏡も活躍できるようになり、国内の学校 / 公共天文台・アマチュア天文家による観測成果が期待できる。

本シンポジウムの目的は、HETE-2 のもたらす新しい GRB / 残光観測の枠組において、期待される科学的成果を議論し、中小規模の天文台による観測研究の戦略を公開天文台、アマチュア天文家を含めて討議することである。いまのところ予定されている内容は、以下の通りである。

  • ガンマ線バーストとはなにか?(レビュー)
  • 理論的研究の現状と課題
  • HETE-2 衛星の観測装置 / 速報システムとは?(レビューと運用状況、参加の仕方)
  • 大望遠鏡によるガンマ線バースト残光の観測結果とその宇宙物理学的意義
  • 稼働中のガンマ線バースト追観測計画
  • 中小規模望遠鏡による観測計画と現状

<問い合わせ>

吉田 篤正 氏(青山学院大学 物理学科)
(tel 03-5384-6110 / fax 03-5384-6100)
渡部 潤一 氏(国立天文台 天文情報公開センター)
(tel 0422-34-3638 / fax 0422-34-3810)
玉川 徹 氏(理化学研究所 宇宙放射線研究室)
(tel 048-467-4651 / fax 048-462-4640)

<関連リンク>

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