X 線衛星チャンドラ
ケンタウルス座の超新星残骸の中心にパルサーらしき天体を発見

【2001年10月26日 チャンドラ・フォトアルバム

超新星残骸 G292.0+1.8(写真提供:NASA / CXC / Rutgers/ J. Hughes et al.)

NASA の X 線宇宙望遠鏡「チャンドラ」が超新星残骸を撮影し、画像が公開された。中心にパルサーがあると思われ、パルサーとその元になる重い星との間の関係を研究する大きな手がかりとなりそうだ。

この超新星残骸は G292.0+1.8 と呼ばれるもので、ケンタウルス座にあり、およそ 1,600 年前に爆発したと考えられている。画像の球殻状のガス塊は高速度で膨張しつづけていて、今のところ直径 36 光年。酸素、ネオン、マグネシウム、シリコン、硫黄といった重元素を豊富に含んでいる。

同じく超新星残骸であり、中心に中性子星を持つことが既に知られている「かに星雲」や「ほ座超新星残骸」に似た特徴から、中心にみられる点状の X 線源は、高速回転している中性子星、すなわちパルサーから発せられていると考えられる。中性子星は、大質量星が超新星爆発によりその生涯を閉じる際、その核の部分がつぶれることにより生成されると考えられているが、どのようなタイプの星からこういったパルサーができるのかはよくわかっていない。

今回のチャンドラによるこの新しい画像によって、謎を解く大きな手がかりが得られた。画像から、超新星残骸に含まれる元素の割合が推定できるので、そこから元の星の質量や化学組成を推定することができるのだ。

写真中青いところは、爆発前の星の奥深くで作られた酸素やネオンといった元素が超新星爆発で吹き飛ばされた物質をあらわしている。白や黄色は超新星爆発の前に星から吹き出た物質や最初から星の周りにあったものである。