2001年の「しし座流星群」

【2001年9月6日 国立天文台天文ニュース (471)

今年も、「しし座流星群」が出現する11月がだんだん近付いてきました。そして、国立天文台に対しても、今年の出現の規模についての問い合わせがくるようになりました。それに応えて、大略の見通しを述べておきます。

ご承知のように、流星となる物質をあらかじめ太陽系内で観測することはいまのところ不可能で、流星群出現の規模を正確に予測するのはたいへんむずかしいことです。しかし「しし座流星群」はほぼ33年を周期として出現数が増減することが知られています。さらに、母彗星であるテンペル・タットル彗星(55P/Tempel-Tuttle)の回帰にほとんど合うように流星出現数のピークが来ることも、経験的にわかっています。そこから、今回の母彗星回帰にともなう流星出現のピークは1998年1999年と見られていました。そして、予測通り1999年には、ヨーロッパを中心に1時間当たり3000個を上回る流星の大出現が観測されました。

そのテンペル・タットル彗星は1998年2月末に近日点を通過し、その後どんどん太陽から離れ、もう10天文単位以上のところへ遠ざかっています。「しし座流星群」も、しだいに出現数が減る時期に入ったと考えるのが常識的でしょう。今年の出現数を数字で示すのは困難ですが、強いて挙げれば、11月18日、19日の夜明け前に、最大で、1時間当たり20個程度の流星が見られるのではないでしょうか。今年は月が見えない好条件の年ですから、天候に恵まれさえすれば、去りゆく「しし座流星群」の名残りを惜しむ観測ができることでしょう。

ところで、ここまでの説明とは別に、今年の「しし座流星群」にはやや特別の期待がもたれています。ご存じの方も多いでしょうが、イギリスのアッシャー(Asher,D.J.)博士たちが、彼らの理論による予測で、11月19日未明(ピーク時刻3時19分)に、東アジア地域で、1時間当たり、天頂修正出現数で1万から3万5000個の流星出現の可能性があると述べているからです。この予測が当たれば、日本でもすばらしい流星雨が見られることになります。ただし、いまの段階で、国立天文台としては、この予測が正しいとも正しくないともいうことはできません。それは結果が示すことです。今年の「しし座流星群」を観測される方は、このような大出現の予測があることも頭の片隅に入れて、観測の計画を立てることをおすすめします。

<参照>

  • McNaught,R.H. and Asher,D.J. WGN,the Journal of the IMO 27:2, p.85-102(1999).

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